夫や妻は大人のアスペルガー⁈カサンドラ症候群に陥る家族とその対応

夫や妻を見ていて「ちょっと変わってるよね」「気持ちが通じにくいな」「どう付き合ったらいいんだろう?」と不思議な気持ちになったり、もどかしさを感じることはありませんか?

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ごく普通の夫婦にもありがちな気持ちのすれ違いや価値観の違い。

でも相手が大人のアスペルガーだった時、そのすれ違いがあなたの心をジワリジワリと苦しめてしまうことがあります。

相手の方とご自身と。

家族がどう対応して、自分をどうケアしていけばいいのでしょうか。

大人のアスペルガーって?

発達障害の中に自閉症スペクトラムという障害があります。

  • 社会性で苦手な面がある
  • コミュニケーションが苦手
  • 想像性の問題と頑固さ、固さ

この3つの症状を主に持っており、その苦手さのために仕事や家庭など、様々な生活場面で生きにくさを感じる障害です。

強く当てはまる」から「少し当てはまる」まで、光のプリズムのように症状は連続していると考えられていることから「自閉症スペクトラム」という名前が付けられています。

その中でも特に、言葉の力が高かったり、知的に十分な力をお持ちの方を「アスペルガー症候群」と呼ぶことがあります。

アメリカ精神医学会の診断基準では今は「アスペルガー」と言う言葉は使われていませんが、日常的によく使われること、その名前によってどんな症状か想定しやすいことから、今回は「アスペルガー」の名称を使っていきたいと思います。

平成24年の文部科学省の調査では、「対人関係やこだわりなどの問題を持つ児童」は、普通学級の中に1.1%いると報告されました。

約1%、100人に一人くらいの子供がアスペルガー的な課題を持っているということですので、大人でもそれに近い数字の割合で、アスペルガーの方は存在する可能性があります。

しかし、大人の発達障害の研究が進んできたのは最近で、まだまだ概念が浸透していないのが現状です。

ですから、診断がついていない大人のアスペルガーの方がたくさん存在している可能性があります。

大人のアスペルガーと家族との関係

アスペルガーの方は知的に高く、リーダーシップを発揮して社会的に高い立場の方も多くいらっしゃいます。

しかし、大人のアスペルガーの方は、感情を読み取ることも、表現することが苦手です。

また、言葉の力は持っていても、言葉の裏に潜む意味を読み取るのも苦手です。

こだわりがあったり、自分の趣味や世界に没頭してしまって、家族を受け入れにくい時もあります。

感覚が過敏なことも多いので、人とのスキンシップや、特定の音やにおいが苦手だったりもします。

また人と上手く距離を取ることが苦手なので、配偶者やパートナーとの距離を上手く取れないことに違和感を覚えて相手を攻撃したり、劣等感を持ってしまって、逆に自分の力を誇示しようとしたりします。

それが発展して、家族への暴力や暴言などの虐待に繋がることもあります。

周囲からはなかなか気づかれにくいのですが、夫婦や家族のような、情緒的につながりが深い関係になると、このようなアスペルガーの偏りが関係性を難しくしています。

  • 価値観が違いすぎる
  • コミュニケーションが成立しにくい
  • 共感が得られない

配偶者や家族はそんなことに苦しみ、悩んでしまいます。

社会では立派な立場の人なんだから、もしかしたら、そんな風に思う自分が悪いんじゃないか…と罪悪感を感じてしまう人もいます。

さらに家族を苦しめるのは、それを周囲に言っても理解してもらえないことです。

結果的にさらに追い込まれてしまい、二次障害として、うつやパニック障害、無気力頭痛など、さまざまな症状に苦しめられることになってしまいます。

大人のアスペルガーの方とその家族との関係は、少しボタンをかけ違えてしまえば、とても難しいものになってしまいそうです。

カサンドラ症候群って?

大人のアスペルガーの方と情緒的な繋がりを持てないことからくる、心身への影響。

そんな影響に悩まされている人の症状を、まとめて「カサンドラ症候群」と呼ぶことがあります。

カサンドラ症候群は精神疾患の正式な用語ではありませんが、この「カサンドラ症候群」の概念に基づいて、大人のアスペルガーの方の家族会などが全国で組織されています。

また、「カサンドラ症候群」とは、大人のアスペルガーとその家族間に使われるだけでなく、友達や会社の同僚との関係においても使いますし、子供のアスペルガーとその家族や教師との関係にも使われます

カサンドラ症候群の症状

価値観の違いが起こり、共感されることがなく、情緒的なつながりを感じられない期間が長年にわたると、家族は身体も心も変調をきたしてきます。

  • 疲労感、頭痛、不眠などの不定愁訴
  • 抑うつ感情
  • パニック
  • 相手への強い思いが満たされることなく、無力感や孤独感を感じる
  • 否定されたり暴力をふるわれた結果、だんだん自分をみじめに感じたり、自分が悪いんだと自分を責めてしまう。
  • 満たされない思い、やりきれない思いが怒りにつながる
  • 振り回されて、精神をすり減らしてストレスをたくさん抱え込んでしまっている

カサンドラ症候群のご家族はこんな風に、身体も心も、そして、人格さえも影響を受けてしまいます。

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大人のアスペルガーの方への対応と自分自身への対応

アスペルガーの当事者への対応、あなたご自身への対応にはどんなものがあるのでしょうか。見ていきましょう。

家族ご自身のメンタルケア

対応策として一番大事なのはまず、ご自身のメンタルケアです。

うつなどの症状がある時は、治療を行いましょう。

次に大切なのは、お二人の関係を理解してもらえる方を見つけることです。専門的な知識がないと、お二人の関係性も、あなたの困り感も正しく理解してもらえないばかりか、逆にお説教されたりして、余計にストレスを抱え込んでしまいます。

ストレスを溜めないように、ご自身をケアできる人を探しましょう。

当事者の会もあるようですので、そんな会に参加してみるのも良いかもしれませんね。

当事者に自覚してもらう

その方ご自身が変わるためには、まず症状を自覚して治療の必要性を感じていただくことがとても重要です。

子どもの発達障害の場合は、ご両親や先生方が子供の特性を知り、まずは環境調整を行なっていくこと有効ですが、大人のアスペルガーとなると、ご本人が自覚して「改善したい」「何とかしたい」と思ってくれなければ、なかなか事態は進展しません。

ですから受診する気になってくれれば、それだけでも大きな変化と言うことになります。

お互いの違いを理解する

これができたら最高ですね。

でも、そのためには大人のアスペルガーの方ご自身が自覚する…と言うのが前提となりますね。

考え方は千差万別で、どちらの価値観が正しいか間違っているかが論点ではありません。

お互いの考え方を尊重できる関係を目指して、話し合いができるととっても良いです。

アスペルガーの特徴を理解して対応する

当然ですが、大人のアスペルガーの方の個性や特性を理解して、具体的に対応策を考えることが大切です。

  • その方のパーソナルスペースを確認する:不意に近づかれるのが苦手だったり、近い距離が苦手だったりします。お互いが心地よいと感じる距離を探しましょう。
  • その方のテリトリーを守る:趣味の部屋を持っていたり、大事なものを納めている場所があるのなら、そこは尊重しましょう。
  • 具体的に伝える:「気遣いましょう」「相手の立場に立ちましょう」など、抽象的な言葉はわかりにくいです。「朝にご近所さんと出会ったら目を見て口角を上げて笑いながら挨拶をしましょう」のように具体性を持たせましょう。
  • 見通しを持たせる:何故それをしなければならないのか、理由が分かって納得してもらうことはとても大切です。不意な変更が苦手な方もおられますので、予告は有効です。
  • 感覚過敏を配慮する:音に敏感、不意な音が苦手、特定のにおいが苦手。触れられる皮膚感覚や圧感覚が苦手。

家族を理解して対応してもらう

反対に、お相手の方にも、ご家族のことやご家族の願いを伝えましょう。

  • 目を見て話す:意外と目を見て話すことに慣れていない人もいます。話をする時は、しっかりと目を見てもらうようにお願いしましょう。
  • 発言に注意してもらう:人格についての暴言、大声で怒るなどは立派なハラスメントに当たります。嫌だということをはっきりと伝えて、やめてもらいましょう。
  • 家族にも家族の予定がある:意外と家族のことを意識せずに、自分のペースで予定を組んでしまう人も多いです。何かを計画する時は、家族に一言声をかけてもらうようにしましょう。

まとめ

大人のアスペルガーの方との感性の違い、価値観の違い、共感を得られないことなどを理由に、ご家族の方が心身に不調をきたしてしまうのが「カサンドラ症候群」です。

どちらが悪いとか良いとかの問題ではなく、それぞれの立場を理解して、お互いを尊重できる関係作りが大切です。

関係性を変えるためにはお互いの違いを理解し、それぞれが工夫を重ねることが大切です。

まずは、ご家族の方ご自身のメンタルケアを大切にすることも大切です。

お互いが歩み寄れると、新しい関係が待っているかもしれませんよ。

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