アスペルガーを知ると見えてくる。育てにくい子にできること。

我が子の個性が強くて、とても育てにくい子だった時。

何となく「発達障害」という言葉が頭に浮かんでくる時。

病院に相談に行くほどではないけど、子育ての糸口が欲しいなと思うことはありませんか?

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アスペルガーと言う発達障害があります。

彼らを育てる時にはちょっとした工夫が必要ですが、それは、どんな子を育てる時にもとても参考になる方法でもあります。

育てにくい子だと感じた時、是非、アスペルガーを知ってみましょう。

必ず参考になる子育てが見つかりますよ。

アスペルガーを知ると子育ての参考になる理由


発達障害とは、「家族との日常生活や、学校、幼稚園、公共の場など、いろいろな場面で人とコミュニケーションを取るのが上手くいかない」障害です。

従って、他の病気のように“検査の数値が○だったからこの病気”と、線引きするのが非常に難しく、また、同じ症状を持っていても、生活に困難さを感じなければ“障害”とはならない曖昧さを持っています。

私たちは日常生活を送る中で、得意な事にも苦手な事にも遭遇します。

完璧な人はいません。

だから、発達障害の診断基準を見たら「これは自分にも当てはまる!」「この項目は息子にそっくり」となってしまいがちです。

しかし、それは“想定内”“基準内”です。

発達障害には、生活上の「困り具合」がどれほど生活に困難さを来しているかがとても重要になります。

アスペルガーは次にも述べますが、知的障害がなくて、言葉でしっかりとコミュニケーションが取れるにも関わらず、人と関わるのが苦手な障害を指します。

知的障害がなくて、コミュニケーションが苦手な子って沢山います。

むしろ、小さな子どもは発達途上にあるので、獲得できていないコミュニケーション技術が沢山あります。

だから、アスペルガーの子どもが、自分の苦手さとどう向き合って克服していくかを学ぶことは、多くの子どもたちがどう育てばいいのか。

あるいはどう育てればいいのか。

そんな指標になるのです。

アスペルガーの定義

アスペルガーは「知的障害がなくて言語的な力を持っている発達障害」と位置付けられています。

知的障害がない…とは、知能検査などで、その年齢の発達指数で7割くらいの力は持っていると判断された子です。

言葉の力を持っているので人と会話もできます。

しかし自閉的な傾向があるので、本人も、子と関わる親や教師も、日常生活で困難を感じています。

①社会性の問題

②コミュニケーションの問題

③融通の利かなさ、固さの問題

この3つの点に難しさがあります。

アスペルガーと社会性の問題

人との関わり方の問題です。

人との距離の取り方が苦手で育てにくい

人見知りがとても強く、ある風貌の人をとても怖がる。

母から離れられない。

年上の子や年下の子は遊べるけど、同年代の子とは上手くいかない。

人にあまり関心がなくて一人遊びがとても多い。

逆に人には興味があるのですが、程よい距離の取り方ができないので近づきすぎる時もあります。

知らない人にも突然声をかける。

話す内容が唐突なので、相手の人が驚いてしまうこともあります。

人に関心があって、突然触る事もあります。

“暗黙の了解”“社会のルール”が分かりにくくて育てにくい

社会で生きていくには“暗黙の了解”が大事です。

しかし、目に見えない、空気を読まないといけないこんな事は、了解するのが非常に難しいです。

アスペルガーの子は、こんな“暗黙の了解”や“社会のルールの理解”が苦手です。

だから、「欲しい」と感じた物もお店から持って来ても罪の意識がありません。

腹が立った相手に「死ね」と言っても、相手の感情が分かりにくくて罪の意識がありません。

社会のルールよりも自分の意思を優先させるので、「今日はこの授業は受けません。」と宣言したら絶対に受けません。

従うべきリーダーは先生や大人ではなくて自分。何よりも自分の意思が大事です。

また、人と会った時に気持ち良く「おはよう」と挨拶した方が良いし、悪いことをしたら「ごめんなさい」と謝らなければいけないのも大抵の子は知っています。

人に親切にされたら「ありがとう」と感謝の言葉を伝えるのが良いと知っています。

こう言った、コミュニケーションを円滑にするための言葉を知らないか、知っていても、使う必要はない、あるいはどんな時に使う言葉なのかを知らなかったりします。

「こんな事って言わなくても知ってるよね」

「こんな事、常識よね」

そう思われがちなことを、知識としてなかなか獲得できないのがアスペルガーの子の特徴です。

育てにくいと感じている子にも、おられるかもしれませんね。

表情や視線の使い方がわからないので育てにくい

人は、言葉だけでなく、表情や身振りなどからいろんな情報を得て、会話が円滑になるように心がけます。

また、人と話をする時には視線を合わせる方が円滑なコミュニケーションが図れる事も知っています。

しかし、アスペルガーの子はそこが苦手です。

お母さんが疲れてぐったりしていたり泣いているのに、いろいろな事を当たり前のように平気で要求してきます。

自分から要求する時は目を見て要求するのに、人から話しかけられても目を見なかったり、反応すらしない、振り向きすらしない事もあります。

感情のコントロールなどが苦手で育てにくい

怒りや不安が強く、コントロールするのが苦手。

ストレスに対して向き合うのが苦手で、少しのことをストレスと感じて苦痛になったり、意外な事にストレスを感じます。

だから、大人や周囲の人は「こんな事で怒るの?」「こんな事に参ってしまうの?」と感じるかもしれません。

ちょっとしたことでいきなりスイッチが入るので戸惑う事もあります。

一旦怒るとパニックになるので、何を言っても火に油を注ぐだけです。

アスペルガーとコミュニケーションの問題

言葉を使うことはできても、言葉を使ってコミュニケーションをとることが苦手です。

空気を読んで会話するのが苦手で育てにくい

やんわりと遠回しに言って理解してもらったり、察してもらうのが下手です。

「もうお昼だね」と言っても、「12時だから」のような、何とも気が抜けそうな返事が返ってきたりします。

「お昼だね」は、「お昼だからお腹が空いた。ねえ、そろそろご飯を食べない?」なのに、それに気づかないのです。

その場の空気を感じ取って、相手が何を言いたいのかを読むのが苦手なのです。

曖昧で抽象的な言葉が分からないので育てにくい

「お風呂を見てきて」と言うと、本当にお風呂を見るだけで何もしなかったりします。

「ちょっと待ってて」と言うと、「ちょっとって何分のことだろう?」と気になってしまったりします。

「だいたい」「あれ取って」「そこにあるもの」など、アバウトな言葉が何を指しているのかわかりにくいのです。

一方的に話すので育てにくい

相手のペースを考えずに一方的に話したり、自分の言いたいことだけ言ってしまうと“もう終わり”とばかりに人の話を聞きません。

冗談が通じない・被害的な感情を持ちやすい

相手の意思が分かりにくいので「バカ」と言われたら、本当に「僕はバカなんだ」と信じたりします。

冗談が分かりにくく、「バカ」と言われたら、お友達としたら「今日は遊ばない。だって、怒ったんだもん」位の「バカ」なのに、全人格を否定された…と思うくらい、深刻に受け止めます。

だから、非常に被害的にとってしまい、“どうせ僕なんか”“僕はもうダメ”と感じてしまいます。

自信をなくしてしまいやすい

言葉を上手く読み取れなくて苦しんだ末に、とても自信をなくしてしまいます。

自己肯定感が低くなり、一歩踏み出す勇気が持ちづらくなってしまいます。

アスペルガーと融通の利かなさ、固さの問題

アスペルガーの子はこだわりや固さ、特定の物への興味、執着を持っている子が多いです。

変化が苦手で、繰り返しが落ち着きます。

頑固で、自分の意思はその通りになると思い込んだりします。

だから「ルールだから」と絶対に譲らなかったり、「○○はすべきだ!」と〜べき思考になりがちです。

また、自分がこうしたい!こうなるべきだ!と思った事は頑固なくらい譲りません。

予定外のことが苦手で育てにくい

自分の中のルールが優先されるので、急な変更や不意に起こることがとても苦手です。

予定外のことが起こると激怒して、その原因を作った人を激しく怒ったりします。

その他の問題と育てにくさ

感覚の問題

感覚がとても過敏で、刺激がいっぱいの普段の暮らしそのものが大きなストレスの原因になったりします。

大きな音や夏の暑さに弱くて、イライラしがちになる子も多いです。

睡眠の問題

睡眠のリズムが整いにくく、寝ない、起きない、何度も途中で起きるなどが見られる子どももいます。

生活のリズムが崩れると、睡眠に影響が出やすいです。

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知っておくと役立つ情報

読んで如何でしたか?

育てにくい我が子とかぶってしまう面はありませんでしたか?

アスペルガーの子には以下のような対応策を取ると有効ですので、ぜひ参考にして、普段の子育てに活かして下さい。

自信を持たせる

一番大切なことです。

特に普段からよく叱られる子は自信をなくしてしまいがちです。

また、言葉の意味を取り違えて被害的に考えてしまいやすいので、くじけてしまいがちです。

そしてストレスを受けやすいので、意外な事にストレスを感じてトラウマになってしまいます。

ぜひ、褒めてあげて下さい。

頑張っている事、当たり前のようにできている事。

そんなことを具体的に褒めてあげて下さい。

ゴールを明確に。0か100ではない選択

融通が利かない子は0か100の選択になり、間の選択が苦手です。

きっちりしている子は特に、高すぎる目標に到達できなくてイライラする事も多いかと思います。

到達目標を小さくして、少し頑張れば達成できるくらいにしてあげましょう。

少しずつ、クリアー出来ていく喜びは、0か100でない小さな選択ができる事にもつながります。

具体的に伝える

「明日のテストは頑張って」と言っても、子は100点の完璧をイメージして、しんどいな〜って負担に思うかもしれません。

「明日のテストは、問題のポイントに印を入れてゆっくり読もう。慌てないで時間を最後まで使おう。」と、何を“頑張る”のかを明確化させてあげます。

「お友達にそんなことを言うと嫌われるよ。」と言っても、子はどうしたらいいのか分かりません。

「お友達に嫌なことをされたら“やめて”と言ってみましょう。それでもダメだったら、その場から離れましょう。」

「人を叩いてはいけません。」ではなく「怒っちゃったら、心の中で10まで数えて落ち着きましょう。」

「それ取って」ではなく「机の上の白いペンを取って」と具体的に言いましょう。

抽象的に言われると混乱しがちな子には、少し丁寧に関わりましょう。

社会のルールを言語化しましょう

言わなくてもこのくらいの事は知ってるだろう。

でも、知りません。

相手が話し中でもお構いなし。

思い立ったら衝動的に話しかける子もいます。

「だめ」と怒るのではなく、「お話したくなったら、“ちょっといいですか?”って尋ねてみて。“いいよ”と言われたらお話ししていいよ。“後で”と言われたら、お話が終わるのを待ちましょう。」と、具体的に伝えてあげましょう。

ルールは知らないかもしれない。

そんな前提に立つとお互いが楽かもしれません。



まとめ

子どもにはそれぞれ個性があります。

とても育てやすい子からとても育てにくい子まで、いろんな子どもいます。

発達障害の支援方法は、個性に応じた子育て法です。

アスペルガーの子の関わり方には子育てのヒントが沢山ありますし、アスペルガーに似た性格の子には打ってつけの育て方かもしれません。

いつもとちょっとだけ違う方法を工夫してみて下さいね。

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