子どもを育てていると、子どもの安らかな寝顔に癒されたり、甘えてくる様子に可愛さを感じたり。
育てて良かったと思う瞬間ですよね。
しかし、それだけでは子育ては不可能です。
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泣く子に悩まされ、ダダをこねる子をなだめ、毎日子どもの対応に悲鳴をあげそうです。
あまりにもかんしゃくがひどくて、すぐ怒る子どもに、もしかしてこの子には障害があるのかも…と心配になりませんか?
子どもの怒りについて考えてみましょう。
赤ちゃん時代と怒ること
生後すぐから赤ちゃんは激しい勢いで泣いて訴えます。
この時代は快か不快かのどちらかしかありません。
おっぱいを飲んで満足。快です。
お腹が空いて不快になると、全世界が敵になったと感じる位の勢いで泣きます。
泣くしか表現できないので、怒るのは当然です。
この時代は、赤ちゃんとお母さんは一体感を感じています。
赤ちゃんにとっては、母の存在が世界の全てです。
この時代の赤ちゃんにとっての一番の課題は、この、世界の全てである母から離れて、「母がいなくても耐えられる、母がいなくても1人で過ごせる」ようになる事です。
何でも要求を満たしてくれる、一体感を感じている母がいて、やがてその人がいなくても1人で過ごせるために、少しずつ自立の道を歩んでいくのです。
ここで見られるのは、母から“見捨てられる事への強い不安”と、母からの“飛び出し”という、両極端に大きく揺れてしまう子どもの心の変化です。
母から見捨てられそうになるとすがってしまい、母に取り込まれそうになると飛び出していく…。
そんな極端な行動になりがちで、母はとても参ってしまいます。
泣いて怒る事でしか表現できないので、すがりついては怒って泣き、母に反抗しては怒って離れる…と何でも怒りと結びついてしまいます。
赤ちゃん時代の対応方法
母親自身の時間も何もかもが子どもに吸い取られ、精神的に余裕がなくなる時期ですので、子どもが怒って泣くことにも非常に敏感になってしまってつらい時期です。
赤ちゃんは泣いたり怒ったりすることが仕事です。
それが当たり前だと思って関わりましょう。
赤ちゃん時代の対応方法〜睡眠の問題〜
睡眠の切り替えが上手くできなくて不機嫌になり、怒ってしまう赤ちゃんもいます。
寝入りが悪い、寝起きが悪いなどのスイッチの切り替えが苦手なのです。
温度や服の肌触り、部屋の暗さなどを変えてあげましょう。
抱いてもらわないとダメな子、抱かずにそっとしておいて欲しい子などもいます。
その子のタイプに合わせて関わりましょう。
赤ちゃん時代の対応方法〜歩きはじめ〜
歩くようになると、自分の力で好きな場所に行けるようになり、心身ともに自立の一歩を踏み出します。
自分は好きな場所に行きたいけれど、危険予知ができないので困りものです。
危なっかしくて仕方がありません。
母親が危険を察知して止めようとすると、激しく抵抗して怒るのもこの時期です。
一旦は子どもの好きなようにさせましょう。
でないと納得しませんから。
親は危険から守ってあげることに注意を向けましょう。
安心して動ける場を確保してあげて、温かい気持ちで見守りましょう。
赤ちゃん時代の対応方法〜食事の問題〜
離乳食を始めると、食べる、食べないで一喜一憂してしまいますね。
食べてくれない。
断固拒否して怒る赤ちゃんもいますが、食べることはとてもデリケートなものですので、焦らないことが一番です。
食べることは個人差が大きいと理解しましょう。
赤ちゃんの中には敏感で、口の中に入る感覚に好き嫌いが激しい子どももいます。
時間をかけて慣れることが必要です。
焦らない。
食べられる食材から少しずつ慣れていきましょう。
まずは食事は楽しいものだと感じてもらいましょうね。
保育所などの集団生活を通して改善する子どももいます。
幼児期の子どもと怒ること
赤ちゃん時代を通して1人で過ごす術を身につけた子どもは、どんどん自立へ向かいます。
「こうしたい」「イヤだ」と自己主張が強くなって怒り、大人との意見の対立が激しい時期です。
第一次反抗期と呼ばれる時代ですね。
口が達者になってきて、親子で言い合いになります。
社会のルールを覚えて行動できるようになる時期でもあります。
幼児期の子どもの対応方法〜予告する〜
かんしゃくが激しくてよく怒る時期ですが、同時に社会性も身についてきて、ルールに従えるようになる時期です。
怒る場面でも、理由をきちんと説明して納得してもらい、少しずつ行動がコントロールできるようになることが大切です。
その為に有効なのは“予告する”ことです。
公園で機嫌良く遊んでいる時に、親から突然「帰りますよ」と告げられると、誰だってキレて怒ります。
突然切ってしまうのではなく、「あと○分で帰ろうね。」や「あと○回やったら終わりね」と予告してあげましょう。
よくトラブルになる買い物場面でも「今日はお菓子は一個だけね」と約束したり、「今日は手を繋いで歩こうね」と見通しを持たせてあげましょう。
予告通りに子どもが守ったら、たくさん褒めてあげましょう。
幼児期の子どもの対応方法〜言葉が遅い時〜
2才前後の子どもは発達の個人差が大きくて、言葉がなかなかでてこない子どももいます。
そんな子どもは自己主張はするけれど、大人からの制止や説明がなかなか理解できなくて、親が考えるような行動を取ってくれません。
体力もついてきて走れるようになるので、親は子どもを追いかけるのに必死です。
言葉ではなかなか伝わりません。
そこで、言葉と共にジェスチャーやサインなどの身振りをつけて説明してあげてください。
「ダメ」な時は手でバッテンを作りながら言う、「あっち」と言う時は、しっかり方向を指差してあげる、など、視覚的な情報が有効なことがあります。
幼児期の子どもの対応方法〜友達との関わり〜
保育園や幼稚園に通い始める時期です。
家族から離れて、初めて社会に出て生活をします。
小さなことがトラブルになって、これ位の子どもは喧嘩をして怒り、しょっちゅう泣いています。
男の子も女の子もワンワン泣いています(笑)。
まだ社会のルールを覚え始めたばかりの時期ですから、日々失敗を繰り返しながら、喧嘩して怒るのは当然です。
社会性を身につけているんだ…と理解して見守ってあげましょう。
怒り出しそうな場面が予測できそうでしたら、しっかりと予告してあげましょしょう。
幼児期の子どもの対応方法〜ターニングポイントは4歳〜
4歳になると、「今何をしなければならないか」「今、何を期待されているのか」を納得して我慢したりができるようになってきます。
随分自分を“律する”ことができるようになりますので、指導しやすくなります。
小学校低学年の子どもと怒り
小学生となり、先生や親からの見守りの手を離れて、子ども同士の交流が増えてきます。
子ども社会の中では守らなければならないルールが増えてきて、トラブルも増えてきます。
また学習が始まりますので、全体的に自信をなくしてしまったり、劣等感を持ってしまって怒ることが多いです。
小学生低学年の対応方法〜友人関係〜
小学生の悩みではとても多いものです。
すぐにカッとなって怒り、喧嘩になる、といった“怒りのコントロール”が課題になってきます。
上手く言葉で説明するのが苦手で、ついカッとなって手が出る子どもも多いです。
まず、「こんな場面ではこう言いましょう」と具体的な伝え方を教えてあげてください。
この年代はまだまだコミュニケーションが下手です。叱らないで、しっかりと伝えてあげることが大切です。
小学低学年の子どもの対応方法〜勉強面〜
勉強が分からない。
字がうまく読めない。
字がなかなか覚えられない。
計算はできるが、文章題になると難しい。など、学習面で課題が出てくることがあります。
心理的にストレスが増え、怒りやすくなります。
個人差がとても大きいので、もしかしたら障害があるのかもしれない…と感じやすいかもしれません。
心配な場合は専門家に相談しましょう。
小学低学年の子どもの対応方法〜基本的な生活習慣〜
小学生になると、忘れ物をしない。
時間割をちゃんと合わせる。
提出物はきちんと出す。など、自分でしないといけないことが増えてきます。
また、学校ではちゃんと指示通りに動く。
当番などの役割をキチンと果たす。など、集団の生活に適応して行動できるスキルが求められます。
この辺りの基本的な生活のスキルが身につかないと、親や先生から叱られることが増えてしまいます。
叱られるイライラとなり、ついつい親とケンカ。
よく叱る担任との折り合いが悪く、先生に反抗的になる。
そんな悪循環に陥ってしまうことが。叱っただけでは改善しません。
低学年のうちは、生活習慣を身につけさせるためにも、しっかりと寄り添って手伝ってあげてください。
一緒に行ってあげてください。
頑張ったことはしっかりと褒めてあげてください。自信をつけてあげましょう。
小学高学年から思春期の子どもと怒り
いよいよ大人の手を離れ、精神的な自立の道を歩きます。
自立と不安の狭間に立って、精神的な揺れが大きい時期です。
見えない不安にイライラが募って怒りやすくなります。
また、自分を客観的に見ることができるようになり、“自分とは?”と悩みを抱える時期でもあります。
小学高学年から思春期の子どもの対応方法〜10歳の大きな成長〜
10歳頃になると子どもの脳は大きくて成長し、思考様式が激変します。
今までは具体的に考えることが主流だった脳は、抽象的な思考様式に変化します。
客観的に自分を見ることができるようになり、どの子どもも一時的に自己肯定感が低くなり、自信を失いがちになります。
挫折を経験します。
この時期はうつうつとして、イライラと怒っているように見えることがあります。
自分と戦っているのだと、温かく見守ってあげて下さい。
小学高学年から思春期の子どもの対応方法〜怒りや不安の感情〜
喜びや楽しい感情は受け入れやすいのですが、不安や怒りの感情は向き合うことが難しい感情です。
この年代になると、そういった不快な感情を上手く処理できずに、いろんな生活場面で失敗することが多くなってきます。
子どもたちは怒った後で、とても後悔し、罪の意識を感じてしまいがちです。
しかし、“怒る”というのは誰にでもある感情で、持って当然の感情です。
その感情を上手く使いこなすことが大切です。
子どもには、罪の意識を持たないように行ってあげて下さい。
そして、コントロールの仕方を大人がキチンと教えてあげましょう。
怒ることと障害
人が泣いたり笑ったりするのと同じく、人が怒るのは普通に見られる感情です。
怒りを否定せずに、怒りと上手く付き合う方法を見つけていってあげましょう。
しかし、いろんな工夫をして配慮してもなかなか改善しない。
悪循環に陥って、どうにもこうにもできなくなった。
上記にあげた苦手さが強く見られ、かつ、日常生活が困難な時は、“障害”という言葉を少し意識してみてください。
障害は、不治の病を宣告するようなものではなく、周囲の人に理解してもらい、協力を得ながら子どもの発達を支援するための切符を手に入れるものだと理解してください。
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怒る障害にはどんなものが?
自閉症スペクトラム
発達障害や広汎性発達障害と言われたりしますが、最近は自閉症スペクトラムと呼ばれるようになりました。
軽度から重度までの連続体として症状が位置付けられています。
社会性の苦手さ、言葉のやり取りの苦手さ、こだわりと固さの3つの症状を大きな軸としています。
社会生活でつまずくことが多く、失敗体験が元になってコンプレックスが強くなります。
その為にちょっとしたことで怒りっぽくなります。
うつ
子どもにもうつはあります。
脳内の神経物質の伝達が上手くいかなくなる事が原因で、ストレスや環境の変化が影響していると言われています。
子どもの場合は友人関係でのトラブルが上位を占め、引っ越しや親の離婚など生活環境大きな変化が挙げられます。
腹痛や頭痛、微熱や胸の痛み、便秘や下痢などで、始めは「風邪かな?」「病気かな?」と心配した親が小児科に連れて行っても、特にこれと言った病気が見つかりません。
睡眠不足や食欲がなくなる、成績が急に落ちたり、周りにあまり関心を示さなくなる…など、本人はあまり自覚していないけれど、家族が見ていて気づく症状もあります。
イライラして怒りっぽくなることも多いです。
反抗挑戦性障害
何かあると「でも…」「だって…」と口答えすることが非常に多くて理屈っぽいです。
大人とケンカするのも平気。
大人からの要求には反抗したり拒否したり。
故意に人を苛立たせます。
執念深いこともあります。
かんしゃくがひどくて、すぐに怒ります。
依存
ゲームやテレビに熱中しすぎて、日常生活がおろそかになり、人とのコミュニケーションに興味を持たなくなります。
ちょっとしたことで怒ります。
依存症は自分の力だけではなかなか解決できません。
周囲の人と協力して、依存から抜け出せるように手助けすることが必要です。
まとめ
怒る感情は誰にでもあるものですが、うまく表現することが必要です。
子どもは未熟で、コミュニケーションも下手。
失敗を繰り返しながら怒りの対処法を身につけて、社会に出る準備をします。
小さいうちからのトレーニングが必要ですが、それが困難だと感じ、障害を疑う時は、気持ちを切り替えて専門家に相談しましょう。
きっと、思い切って相談して良かったと思うはずです。
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