発達障害の方には障害者手帳が必要?障害の種類と等級

お子さんや、あるいはあなた自身が発達障害であると言われた時。

将来のことがいろいろと心配になってきますね。

そんな時に「障害者手帳」って耳にしたことはありませんか?

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障害者手帳って何だろう?何に使えるんだろう?どうしたらもらえるんだろう?役に立つの?

そんな、たくさんの???がつくのではないでしょうか。

今回は、発達障害と関係している手帳にはどんなものがあるのか。障害の種類、等級はどうなっているのかをまとめました。

障害者手帳ってなに?

障害者手帳には3種類の手帳があります。

・身体障害者手帳

・療育手帳

・精神障害者保健福祉手帳

身体障害者手帳

文字通り、身体に障害があるときに認定される手帳です。

障害は大きく5つの種類に分けられています。

①視覚障害

②聴覚または平衡機能障害

③音声・言語またはそしゃく機能障害

④肢体不自由(上肢・下肢・体幹機能障害など)

⑤内部障害(心臓・腎臓・呼吸器・ぼうこうまたは直腸・小腸・免疫・肝臓)

①から⑤の障害が当てはまり、様々な支援が必要な時に取得することができます。

等級は1級から6級まであります。

1級が一番重度の等級です。

7級という等級もありますが、単独で得ることはありません。

障害者手帳を持っていると、等級と障害の種類に応じて、様々な支援を受けることができます。

車いすの人は、その人の身体に合った車いすを作成してもらえたり、装具を作ってもらえたり、寝たきりの人にはオムツが支給されたりします。

等級によっては入浴のサービスもあります。

医療費の援助や、もろもろの手当、大人の人には年金が支給されたりもします。

大人の人は就職したり、作業所に通ったりしますが、どんな職場を選択できるかを考える時には、この障害者手帳の等級も参考にされます。

申し込みは市役所の「障害○○課」といった、障害に関する窓口で行うことになります。

療育手帳

知的障害を持つ人に交付される手帳です。

地域によっては「愛の手帳」「みどりの手帳」と呼ばれていたりします。

知的障害とは「おおむね、知的機能の障害が18歳までにあらわれ、日常生活に支障が出ていたり、何かの援助が必要な状態にある」とされています。

何によって評価するかというと、よく使われるのは子どもなら発達検査、大人なら知能検査です。

IQって聞いたことがありますか?

発達検査や知能検査によって、IQ=知能指数、DQ=発達指数を導き出します。

平均が100。

それよりどの位の差があるかをみるのです。

IQがだいたい70以下。平均と比べて7割以下の力だと判断されたときに「知的障害」と判定されます。

知的障害の等級の設定は地域によって違いますが、大きくは「重度」と「軽度」の種類に分けられます。

さらにそれを細かく、4つの等級に分けられている地域もあります。

A1:最重度(だいたいIQ20以下)

A2:重度(だいたいIQ35以下)

B1:中度(だいたいIQ50以下)

B2:軽度(だいだいIQ70以下)

と分けられることが多いです。

 

≪手続き≫

1.市役所の「障害○○課」のような、障害の窓口で申し込みます。

2.その後、子どもならば児童相談所で、大人なら知的障害者更生相談所で発達検査や知能検査を受けます。

3.知能検査の結果と、聞き取り調査によって総合的に判断され、等級が決まります。

IQが70以下でないとダメかというとそうではなく、それに近い値で、なおかつ聞き取りによって、生活に支障をきたすことが多いようであれば取得することが可能です。

精神障害者保健福祉手帳

精神障害がある方の自立や社会参加、社会復帰を促すための手帳です。

精神疾患の種類

・統合失調症

・うつ病、そううつなどの気分障害

・薬物やアルコールによる急性中毒またはその依存症

・高次脳機能障害

・発達障害(自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害 など)

・その他の精神疾患(ストレス関連障害など)

障害の等級

1級から3級の3種類があります。1級が最重度の等級です。

1級:日常生活がとても困難。大人の方なら、障害年金1級に相当します

2級:日常生活が著しい制限を受ける。大人の方なら、障害年金2級に相当します

3級:日常生活や社会生活が制限を受ける。大人の方なら、障害年金3級に相当します

手続き

1.申込先は保健所です。まずは保健所に問い合わせましょう。

2.精神疾患であることの証明書が重要になってきます。かかりつけ医に証明してもらいます。所定の用紙に記入していただきます。

3.保健所で判定されて等級が決まります。

注意点

・申請する時点で、障害が確定していて、治療を受けていても症状が固定されている…という証明が必要です。だから、最低でも、初診から6か月過ぎていることが必要です。

・精神疾患の症状は変化します。軽くなることもあれば、重くなることもあります。従って、基本的には2年ごとに更新することが必要です。しかし、症状が変われば、2年以内でも再申請することはできます。

発達障害の方が取得できる手帳は

発達障害の方が取得できる手帳は2種類あります。

「療育手帳」と「精神障害者保健福祉手帳」の二つです。

発達障害に加えて知的障害があるときに、その二つを取得することができます。

ですから、知的障害がないと「精神障害者保健福祉手帳」のみ・・・ということになります。

えっ?ふたつも?

二つも申請するのって、面倒くさいですね。

でも、いざ、何かのサービスを使いたい!って思ったときに、二つ持っていると合算して判断してくれるので、「持っていて良かった」と考えられる方も多いです。

どの手帳を申請するか、どの手帳を持っていると患者さん本人に役立つかを考えて、ご家庭でしっかりと検討しましょう。

発達障害の方が障害者手帳を持つメリット

子どもの場合

・幼児さんならば保育園や幼稚園に通われているでしょう。もし、お子さんが療育手帳などを持っておられたら、園は❝障害を持った子どもを教育している❞と評価されて、市町村から園に対して、補助金が下りることがあります。もし、補助金がおりたら、そのお金でお子さんの手助けをしてくれる先生をつけてくれるかもしれません。大事な早期の教育で、細かい配慮がしてもらえるととても良いですね。

・子どもは友達と遊ぶのが大好きです。でも、友達とうまく遊べなくて放課後にさみしい思いや、つらい思いをすることがあります。放課後デイサービスという福祉制度が使えます(放課後デイサービスは、手帳を持っていなくても、主治医の意見書で使えることもあります)。

・保育園や学校での集団生活にうまく適応できなくて困っているとき、保育所等訪問支援事業を利用することができます。専門家に保育所や学校に出向いてもらって、先生たちと話し合ってもらうことができます。どう支援すればいいのかを具体的に指導してもらえます。

・冠婚葬祭で、どうしても子どもを連れていけない時、育児に疲れてリフレッシュしたい時、日中支援ショートステイという制度を利用できます。日中支援は数時間預かってもらうもの、ショートステイは施設にお泊りさせてもらうものです。

・持ってなくても大丈夫なんですが、支援学校に進学したい時に、最近では❝手帳❞を持っていることが大事になってきています。手帳を取得するには時間がかかります。支援学校に進学したい!って思ったときに、❝さあ、手帳❞ってなって慌てなくて済むように、見通しを持っておきましょう。

・特別児童扶養手当がもらえたり、医療費の負担が軽くなります。等級にもよりますが、税金の免除があったりします。手当が頂けて、それを子どもの教育に使ってあげるといいかもしれませんね。

大人の場合

子どもが学校を卒業したら、いよいよ就職です。

どこに就職しますか?

障害者雇用

最近できた法律の影響もあり、❝障害者雇用❞枠で就職できる人が増えています。

もちろん、障害者であるという証明に手帳が必要です。

自立に向けて

いずれは親元を離れて、自立してもらえるといいですね。

最近はグループホームなどへ入居する人が増えています。

どんなグループホームに入居できるか?あるいはどんな施設に入れるか?

それには❝障害区分❞という、障害レベルの判定をしてもらう必要があります。

障害者手帳を持っているか?

障害者手帳の等級は何級か?

そんなことも判断材料になります。

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障害者手帳をもらったら一生持ち続けるの?

いえ。そんなことはないんです。

症状が軽くなって、役所から「今回は手帳を交付できません。」と言われることもあります。

反対に、自分たちから「もう必要ないのでお返しします。」と返すこともできます。

必要な時に必要な支援を受けるために、手帳を取得する。

周りの人に理解してほしい時に、手帳を取得して理解してもらう。

手帳は、そんなことのためにあるのです。

まとめ

障害者手帳には「身体障害者手帳」「療育手帳」「精神障害者保健福祉手帳」の3種類があります。

身体障害者手帳は身体障害に対して、療育手帳は知的障害に対して、精神障害者保健福祉手帳は精神障害や発達障害、てんかんの方に対して、それぞれ交付される手帳です。

申請方法も、再交付の期間も手帳によって様々ですので、まずは市役所の障害支援課に相談されるのがよいかと思います。

障害者手帳は、その等級によって様々な支援を受けることができます。

必要な時に、必要なだけのサービスが使えるように手帳を持っておくことが大事です。

周囲にちゃんと理解してほしい時にも、手帳を持っておくことが大事です。

でも、いらなくなったらいつでも返すことができます。

障害児者本人が生きやすいように、生活しやすいように。

それを一番の目標にしていきましょう。

 

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