大人の発達障害はまだまだ知られていない分野ですが、意外とその割合は多いと言われています。
自分に発達障害の傾向があると知らずに成長した人は、周囲からの無理解などによって、叱られたり注意されることが多く、自信を無くしたまま大人になっている可能性があります。
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夫婦関係においても、そんな自信のなさから、伴侶であるあなたに不満や不安、攻撃性をぶつけることになってしまい、関係にひびが入ってしまうこともあるのが現状です。
今回は、発達障害の中でもADHD(注意欠如多動性障害)の方を取り上げ、接し方についてまとめました。
大人になるほどつらい発達障害 ADHD(注意欠如多動性障害)
発達障害を持っている人は5%前後だと言われています。
原因ははっきりとはしていませんが、生まれついて脳の機能にかたよりがあり、そのために独特な行動的な特徴がみられると考えられています。
遺伝的な要素が関係していると言われていますが、“発達障害の人がいれば、その家族の中にも発達障害の人がいる可能性が高い”くらいの頻度だと言われています。
いまでこそ、保健所の乳幼児健診でも「発達障害の子どもを早期に発見し、早期に教育する」という視点で取り組まれるようになっていますが、私たち大人の世代には発達障害の概念そのものがありませんでした。
ですので、現在の大人の中には診断がつかないまま成長なった人が沢山存在することになります。
子どもよりも人生経験が長く、しかも、その間に何も理解を得られずに、適切な指導もされてこなかった大人の発達障害の方。
小さい頃から叱られることが多く、どうしても自信を無くしてしまいがちです。
自己肯定感が低く、自尊心がなくなってしまう人がとても多いのは当然のことでしょう。
また、子ども時代には多めに見られていたことでも、大人になると許されなくなってきます。
大人の世界はとても厳しいのです。社会人として成果が求められたり、世の中の期待に応えなければなりませんからね。
発達障害を持った方は、そういった長年の積み重ねによって、もともと持っている発達障害に加えて、二次的な障害を抱えてしまうことも往々にしてあります。
発達障害の方が抱える二次障害と併存障害
併存障害とは、他の障害を併せ持つことを言います。
ADHD(注意欠如多動性障害)の方では、この併存障害や二次障害を持っている方がとても多く、ある調査では7割にものぼると言われています。とても多いのに驚きますね。
では、併存障害や二次障害にはどんなものがあるか、また、ADHDの方にどれくらいの割合で現れるのかを見ていきましょう。
併存障害
- 学習障害(LD)…9.8%
- 自閉症スペクトラム…4.8%
- チック障害…1.6%
二次障害
- 反抗挑戦性障害・行為障害…31.6%
- うつ病…10.5%
- 不安障害…14.4%
よくわかる大人のADHD 榊原洋一 ナツメ社
ADHDの方と関わる時には、ADHD以外の発達障害があるかも。合併症である二次障害があるかも。と、その可能性を考えるようにしてください。
大人になるほど厳しい環境の中にさらされ、生きづらさを感じている可能性のある発達障害の方。
もどかしい思いを、一番身近な家族にぶつけているかもしれません。
でも、それは心の叫びです。
イライラしているのは「助けてほしい」っていうサインだと受け止めてあげてください。
発達障害の方には周囲の理解が必要です。
ぜひ、気付いた方から接し方を工夫していきましょう。
ADHDの症状
ADHDとは注意欠陥多動性障害とか、注意欠如多動性障害などと言われています。大きく3つのタイプに分けられています。
多動・多弁型
- 落ち着きがない
- 話をしていても目がキョロキョロして落ち着きがない感じ
- 貧乏ゆすりや指をポキポキ鳴らす
- 仕事をしていても他のことに気持ちが行ってしまう
- 仕事をやりかけたままで他のことをする
- 話し出すと止まらない
不注意型
- 集中力がない
- 片付けができない
- 忘れ物が多い
- 仕事でケアレスミスがとても多い
- 時間の管理が苦手で逆算して行動できない。だから約束の時間にも遅れる
- 仕事や友達との約束そのものを忘れる
- 締め切りに間に合わない
- 作業などを順序立てて行うことが苦手
- 興味があることには集中して止められないけれど、コツコツとしなければならなことは長続きしない
- 仕事などで、同時にいくつも言われると訳が分からなくなる
- 刺激に弱く、何かをやっていてもすぐに目移りしてしまう。そして、何をやっていたか忘れてしまう
- 飽きっぽい。時間をかける仕事が苦手
- よくケガをしたり、事故にあう
衝動型
- 言いたいことが我慢できないので失敗する
- 人の会話に割って入ってしまう
- 欲しいものがあるとついつい衝動買いしてしまう
- 怒りっぽくて、スイッチが入るとすぐに怒る
- 仕事で人に相談せずに勝手に決めることがある
- 自制心が利かずに、欲求に勝てないときがある
- ゲームへの依存やお酒への依存、買い物の依存など、依存症になりやすい
- 何でも仕事を引き受けてしまって、手いっぱいになる。そしてできない
接し方が分からない…こんなことありますか?
- 自分が正しいと思っているので、奥さんのことをすぐに否定する
- 自分が正しい、自分と意見が違うお前はバカだ…と奥さんをバカにする
- 自分の思うとおりにならないと、家族へ八つ当たりをしたり暴力をふるう
- キレるとすぐに暴力。飲みに行った先でケンカをすることがある
- 職場でもあたりがきつくて、部下が辞めてしまう
- 法に触れそうなことをやっても平気で、見ているとヒヤヒヤする。でも、それを指摘すると怒り出す
- ゲームなどに依存しすぎて、家庭内でのコミュニケーションが成り立たなくなっている
- 自分の趣味に没頭する。許可なく、家族がその趣味部屋に入ると激怒する。子どもであろうと激しく怒る。触れるなんてとんでもない!
- 計画性なく物事を決めるので、出かけたり旅行はいつも突然。スケジュールに振り回される。
- 自分の計画を実行するためには借金も平気。返す当てもないのに…
- 子どもの保育園に時間内に連れていけない。よく遅刻させる
- 買い物を頼んでも買い忘れが多い
特徴が似ている、当てはまることが多い、またはとても強く当てはまる項目がいくつかあるのなら、ADHDの可能性を考えてみましょう。
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ADHDの方への接し方って?
どんな接し方が良いのかを考えてみましょう。
接し方1 病院への受診は可能ですか?
まず、旦那さまがADHDかも…って思ったら、ぜひとも夫婦そろって専門家に相談しましょう。
大人の発達障害を診断してくださる病院は少ないです。ホームページや口コミでまず探してから、実際に問い合わせてみてください。
病院がうまく探せないときは各都道府県に設置されている「発達障害者支援センター」に問い合わせてください。個別相談にも乗って乗ってもらえますし、病院も紹介してもらえます。
ただし、受診に同意してくれる旦那さまは多くはありません。大抵は「俺がおかしいというのか!」と怒ることが多いように思います。自分を否定される気がして、心の中では悲しいのかもしれません。それを口に出せなくて“怒る”という形をとるのです。
そんな状態では“病院”なんて言葉は口にできませんね。
あなたお一人なら相談しに行けますか?
行けそうなら、ぜひ専門家を訪ねてください。
発達障害は一人ひとり抱える問題が違います。
その方に合った接し方を指導してもらうのが一番です。
相談に行くことができないとき。以下の接し方を見ていきましょう。
接し方2 一緒に話し合うことはできますか?
「発達障害」というワードは出さずに、お互いに得意なことや苦手なことを話し合えますか?
もし、話し合えるようでしたら腹を割って話しましょう。
接し方のポイント1 困っていることに気づかないことも
意外と多いのは、あなたから見ると「きっと困っている」と思えることに、旦那さまは困っていないこともあります。
言い換えれば、旦那さまは「何に困っているか分からない」ということもできます。
生まれてからずっとそうだったので、よくわかっていない可能性があります。
お話を通して、旦那さまが「何を自覚して、何を自覚できていないか」をしっかり見ておいてください。
接し方のポイント2 困っていることにどう対処すればいいのか知らない
困っていることはわかるんだけど、どうしたらいいのかわからない人はとても多いです。
本当はこの点に関しては、子供の頃から知っておいてほしいことなのですが、“発達障害”という概念がなかった昔のことですから仕方ありません。
旦那さまとお話ができたなら、より具体的な対応策を考えてください。
接し方のポイント3 困った時はHELPを出せるように伝える
困った時にはまず誰かに助けを求めることが一番大事です。
でも、意外と一人で抱え込みがち。
旦那さまに「困ったら必ず誰か信用できる人に相談しよう」と提案してあげてください。
接し方3 あなたがしてあげられること
旦那さまは小さい頃から失敗の連続で、すっかり自信を無くしている可能性があります。
仕事もうまくいかなくて、言葉にできないプレッシャーに悩まされているかもしれません。
旦那さまにしてあげられること。
それは「ほめること」「評価する」ことです。
人は誰でも人に認められたい生き物です。小さい頃から自信を無くしてきただんなさまならなおさらのことです。
旦那さまの良いところ、頑張ってるところ、得意なところ、苦手だけど工夫しているところ。
そんなところを、一番身近なあなたがしっかりと認めてあげましょう。
旦那さまの“育てなおし”だと考えてください。
コツは一生懸命にならないこと。
一生懸命になると、お互いが疲れてしまいます。
気楽にのんびり構えて、旦那さまをしっかり支えましょう。
まとめ
発達障害を抱えた大人は、生きてきた歴史が長い分、また、理解されなかった時間が長い分だけ、抱える問題は深刻になります。
周囲からの無理解によって自己肯定感が低くなり、自信もなくなってしまいがちです。
あなたの旦那さまがADHD(注意欠如多動性障害)の疑いがある時には、ぜひとも寄り添ってあげて、まずは「自信をつけること」「自己肯定感を回復させること」から始めましょう。
旦那さまに自覚があり、一緒に乗り越えられるときは、ぜひとも一緒に病院などの専門機関を訪れて、その人にあった接し方を教えてもらいましょう。
拒絶感が強い時は無理をしないで。
受診を勧めるとますます話がこじれてしまいます。
そんな時は、あなたがトレーナーになって具体的な対応策を考えてあげましょう。
そして、旦那さまの頑張りを評価してあげましょう。
困った時に旦那さまご自身から相談できるだけでも素晴らしいのです。ぜひとも、その勇気をたたえてあげてください。
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