すぐ怒るのはうつだけでない。子どものうつと躁うつ

子どもは感情表現も未熟で上手くはないので、かんしゃくを起こしたりと、イライラしてすぐ怒るものです。

微笑ましいことさえありますよね。

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一方で、すぐ怒る原因として、障害や病気が隠れていることがあります。

今回はすぐ怒る原因になる、うつ、うつと間違えられやすい躁うつについてまとめました。

すぐ怒ることとうつ

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小学生では約7%が、中学生になると5人に1人くらいの割合でその傾向が見られると言われていますので、私たちが想像している以上に子どものうつは身近です。

うつのメカニズムは子どもも大人も同じで、脳内の神経物質の伝達過程に原因があると言われ、ストレスや環境の変化が影響していると言われています。

きっかけとしては、子どもの場合は友人関係のトラブルが上位を占め、引っ越しや親の離婚など生活環境大きな変化が挙げられます。

症状は、子どものうつは身体的な面に表れるのが特徴です。

とても多い症状は腹痛や頭痛、微熱や胸の痛み、便秘や下痢などの不定愁訴で、始めは「風邪かな?」「病気かな?」と心配した親が小児科に連れて行っても、特にこれと言った病気が見つかりません。

睡眠不足や食欲がなくなる、成績が急に落ちたり、周りにあまり関心を示さなくなる…など、本人はあまり自覚していないけれど、家族が見ていて気づく症状もあります。

落ち込みが激しくて、友人関係を拒否する様になったり、不登校になったり、リストカットをしだしたりする事もありますが、そんな時はすぐに病院を受診してください。

性格的な特徴としては、大人はよく「真面目」「几帳面」「責任感が強い」などが挙げられていますが、子どもの場合、は性格よりも育った環境やしつけ、乳幼児期の喪失体験がより影響すると言われています。

どんな風に育ってきたかで、ストレスにどう向き合うか、どう乗り越えるかの経験値が変わってくるので、その差が影響すると言えるでしょう。

子どもは大人ほど言語表現が上手くないので、自分の中に抱えているストレス感情や不安な感情を上手く話せません。

その為に心の中にある、漠然とした感情が行動として表現されます。

うつの場合も、落ち込むだけでなく、行動がとても遅くなったり、ガサガサと落ち着きがなくなったり、集中力がなくなったりします。

急に甘え出したり、イライラしたり、とても反抗的になったりします。

うつは大人しくて鬱々としたイメージがありますが、決してそうではありません。

すぐ怒る、イライラするというのもうつの症状です。

子どもに躁うつはあるのか

うつと間違われやすい障害に“躁うつ”があります。

ふさぎ込んで、自己嫌悪に陥ってしまうような“うつ”が終わったと思ったら、活動的で高揚感があり、興奮した状態になって、多弁や向こう見ずな行動が見られる“躁の状態”に移るのが躁うつです。

以前は“躁うつ病”と呼ばれていましたが、現在は“双極性障害”と呼ばれています。

“躁”の時期は元気なので、病気だと言う自覚があまりなくて受診しないことが多く、“うつ”の辛い時期に受診して、はじめに“うつ”と診断される事が多いようです。

そして、うつの経過を見ていく中で、“躁”の波がやって来て初めて“躁うつ”と診断がつくのです。

早くて15歳くらいの青年期になって診断がつき、子どもに“躁うつ”は見られないとされる事が多いです。

ですので、子どもに躁うつと診断するのには賛否両論があるのが現状ですが、かなり早期から躁うつが確認されるとの立場にある説もあります。

アメリカのディミトリ・F・パポロス博士とジャニス・F・パポロス博士は、幼児期から見られる様々な症状から“早発性双極性障害”の存在を明らかにしています。

日本では馴染みがありませんが、早期からの治療によって子どもの症状に改善が見られることもあるようです。

今回は、この博士の説に沿って、子どもの躁うつについてまとめます。(『子どもの双極性障害』東京書籍 )

子どもの躁うつの特徴

大人の躁うつと子どもの躁うつはやや症状が違います。

まず、大人の様に明確なパターンが見られません。

大人の場合は二つの時期が明確で、数週間から数ヶ月、年単位で変わりますが、子どもはもっとサイクルが短く、1日の内で急速な波の変化が見られる子どももいます。

治療中の17歳の少女はこう語っています。

一日中ひっきりなしに気分が変わります。たとえ幸福感でいっぱいになっていても、どうせまた落ち込むとわかっているので、しばらくするとうんざりしてくるんです。交代の周期がすごく短くて、最高にいい気分の時も、1時間もすると「もう最悪」という気持ちになります。

このように、躁とうつが切り替わる途中で不調をきたすような「混合状態」になる子どもも多いようです。

幼児期の問題

子どもが小さい頃から、他の子どもと違っていたと感じる親は多く、眠りが不規則でかんが強くてすぐ怒り、あやすのに苦労したと言う人が少なくありません。

分離不安があり、母親からなかなか離れられない特性も持っています。

この分離不安は非常に激しい場合が多く、“切ったはずのへその緒がまだ繋がっている様に感じる”親ももいます。

また、夜中に恐怖で叫びながら目覚める“夜驚”が見られることも多いです。

とても怖い夢、“血が出る”や“死を意識する”ような、身体的に危険を感じるような夢を見ている事が多いようです。

子どもの怒りが激しいことも特徴です。

「だめ」のような簡単な一言がきっかけになって怒り、一旦始まると数時間続き、それが日に何度も起こることがあります。

とても衝動的で原始的。

あまりにも怒り方が激しいために、“戦場にいるようだ”と感じる親もいます。

柔軟性に欠けるので次の行動に移りにくく、大人の要求に従うのを激しく拒んで反抗的な態度を取ることもあります。

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診断の難しさ

子どもの症状の現れ方は発達とともに変化します。

分離不安や夜驚、落ち着きのなさや不注意、多動と言った症状に続き、強迫観念や挑戦的で論争的な行動を経ます。

そして、すぐにキレてすぐ怒る易怒性や躁うつの混合状態を伴う急速な交代が見られるようになります。

こんな様々な症状から、注意欠陥多動性障害(AD/HD)、強迫性障害、反抗挑戦性障害、行為障害、不安障害、などの診断がつくことになります。

また、うつの症状は他人から見ても分かりやすいので、医師に相談するきっかけになることが多く、始めにうつと診断されることも多いです。

様々な症状に対して、使用する薬は変わってきます。

躁うつの子どもにうつの薬やAD/HDの薬を使うと、攻撃的になったりと様々な症状を引き起こしますので、注意が必要です。

正しい診断、正しい投薬が必要です。



まとめ

 

“すぐ怒る”症状の中にはうつがあります。

しかし、うつが続いた後に躁の状態が見られこともあり、そこで初めて“躁うつ”であったと判明します。

子どもの躁うつに見られる多動や不注意は、AD/HDの症状とも似ており、躁うつの子どもに対して、うつやAD/HDなど、様々な診断がつくことがあります。

治療法が異なってきますので、注意深い観察が必要です。

ただ、子どもに躁うつと診断することには賛否両論があり、日本では15歳くらいの青年期から診断がつけられています。

“起伏の激しさ”と“怒りやすさ”、“母子分離不安”と“眠らなさ”などが見られて、とても育てにくい子どもと関わっている親にとっては、毎日の生活が辛くて問題は深刻です。

日本では子どもに対して躁うつと言う診断名は滅多につきませんが、親族に躁うつの方がおられたり、上記のような症状がとても当てはまる時は、思い切って医師に相談してください。

診断名はともかく、薬を使用する時の判断材料としては貴重な情報となります。

薬があえば、子どもが落ち着くことも多いです。

子どもが落ち着くと親も落ちついて、子どもを褒められるようになります。

子育ての悪循環を変えるきっかけにもなりますので、細かい情報を医師に伝えて、適切な治療を行い、楽しい育児につなげていきましょう。

 

子どもが怒る意味を書いていますのでこちらも参考にしてください。

これは性格?子どもがすぐ怒る本当の理由

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