障害を持った我が子の将来ってとても心配になりますね。
仕事はできるのかな?
私たち親が死んだ後に、子どもはどうなるんだろう?
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そんな、切実な思いが頭の中を駆けめぐると思います。
今回は、子どもが成人したらどんな生活が待っているかということを考えるために、障害年金とその申請方法などをまとめてみました。
障害年金って何でしょうか?
障害年金って聞いたことはありますか?
障害のある人を経済的な面から自立を支える制度で、成人してからの所得を保障するための制度です。
障害年金をもらうためには大きく3つの条件があります。これを支給要件と言います。
また、障害認定時の条件は以下の通りです。
むずかしいですね!
働いている方は厚生年金を納めていますよね。
学生さんや自営業の方は20歳、成人したらみんな国民年金を納めなければなりません。それをちゃんと納めてきましたか?
ということがまず問われます。
そして、障害を受けて1年半が経った時点で、障害の状態が固定されているかどうかということも問われています。
では、定年退職した方は?
それが65歳未満であること・・・という条件につながります。
では、今回テーマになっている、❝障害を持っている子が成人した時は?❞どうなるのでしょうか?
それが障害認定時の条件にある「20歳になる日までに障害があること」という条件です。
つまり、子どもの時に障害があると判定されていると、国民年金や厚生年金に加入していなくても大丈夫。障害年金を申請することができるのです。これを「20歳前障害」と呼んだりします。
次に見てみましょう。障害年金には2種類の年金があります。
ということは、子どもが成人してもらえるのは障害基礎年金で、障害の等級が1級か2級と判定された方…ということになります。
次に、障害年金をもらえる方はどんな方なのでしょうか?
障害を持っている子どもに多いのは知的障害や発達障害ですので、障害の判定基準の例を挙げておきますね。
では、障害年金っていくらくらいもらえるのでしょうか?
成人するまでにしておく3つのこと
まだ先の話…と思っていても、それまでにできることがあるならやっておきたいですね。
子どもが成人するまでにどんなことをしておいたらいいのか、見ていきましょう。
1.一番大事なことは…
まずは、ちゃんと主治医をもっておきましょう。医者と良い関係を持っておきましょう。ということです。
子どもさんが小さい時から何でも相談できるお医者さんがいることは、子どもさんの成長にとってもとても大切なことです。
お医者さんはたくさんの子どもを診ていますので、我が子の将来が心配になった時に、とってもいいアドバイスがもらえます。
どう関わったらいいのかを具体的に教えてもらえますよ。
そして、子どもが健やかに育つための療育などにそのアドバイスを活かしていきましょう。
子どもが成人して、障害年金をもらうことが重要だ・・・となった時に、医者と信頼関係を築いていると、子どもさんの状態をちゃんと把握して書いて下さいます。
親御さんの中には、障害年金の申請を前にして、えっ?診断書?今はもう、どこにもかかってないなあ・・・と慌てて病院巡りをしたり、昔むか~し、子どもがとても小さい時にかかっていた病院に慌ててお願いの電話をしたり・・・。
とても焦っておられる方を時々お見受けします。
でも、電話された病院はどう思うでしょうか?
この方の子ども時代のことは全く知らないから、責任重いな。
小さい時に診て、すぐに来なくなったし・・・。
書いてほしいと言われても、どう判断したらいいのか、現在の状態が全くわからない・・・。
と、責任の重さに戸惑ってしまいます。
子どもさんの人生を左右する大事な年金のことです。
書く方のお医者さんもとても責任重大で、とても診断書を大切にされています。
だから、信頼できる医者をちゃんと見つけて、なんでも相談できる関係を築きましょう。
もし、小児科がある程度の年齢までしか診てもらえないのだったら、障害者を診てくれる精神科を見つけて、信頼関係を築いておきましょう。
子どもが成人してからも、心配になることはあります。
就職のこと、対人関係のこと。いろいろ・・・。
障害年金のためだけではなく、成人した我が子のことを何でも相談できる病院があると、とってもいいと思いますよ。
2.初診日を知ってますか?
障害年金の申請でとても大事なのが「初診日」です。
子どもの場合は小さい時に診断されていることが多いのですが、転居によってその病院から遠く離れてしまっていたり、どこで診断を受けたのか、記憶があいまいになりがちです。
病院で初診の証明を行ってもらうことが必要ですので、しっかりと記憶をたどりながら、初診を証明してくれる病院を確認しておきましょう。
診断した医師が今もその病院にいるとは限りません。
頼りになるのはカルテの記録です。
カルテにしっかりと診断名が記載されていることが重要です。
3.肢体不自由の方は小さい時から記録を大切に
肢体不自由の方は、障害年金の申請をする時に「病歴・就労状況等申立書」という書類が必要です。
- 発病した時(あるいは生まれた時)から初診までの歴史
- それ以降は約5年を区切りにして、通院歴や受診回数、入院や治療期間、医師から指示されたこと、日常生活の状況
など、子どもさんの障害に対しての治療の歴史や、生活状況が分かる情報を書いていきます。
そんなの、記憶にないですよね!?
だから、慌てなくていいように、ぜひとも記録をつけていってください。
番外編.知的障害の方は初診日の証明はいりません
知的障害の場合は初診日の証明は必要ありません。
初診証明を省略することができます。
知的障害は先天的なもので、生まれたときから障害があると考えられているからです。
ですから、交通事故の後遺症で知的障害が残ってしまった方は、後天的(生まれつきではない)なので、初診証明が必要です。
障害年金の申請について
障害年金の申請方法についてみていきましょう。
いつから申請すればいいの?
障害年金の申請は、子どもが成人する日、20歳になる誕生日の3か月前から受け付けてもらえます。
揃えなければならない書類がたくさんありますので、余裕をもって行動しましょう。
どこに申請するの?
地域の年金事務所か市役所の国民年金課です。
国民年金や厚生年金の支払いをしていた方は、納付状況を調べられますが、市役所に行ってもそのデータは検索できません。
納付状況の確認が必要な方は年金事務所が良いでしょう。
どんな書類が必要なの?
年金事務所に行くと、2つの種類の申込用紙が用意されています。
年金請求書という用紙で、「国民年金障害基礎年金」と「国民年金・厚生年金保険障害給付」の2種類です。
成人する前に障害を受けた「20歳前障害」で申請する人は、「国民年金障害基礎年金」の書類を使用します。
- 戸籍抄本
- 診断書
- 受診状況等証明書
- 病歴・就労状況等申立書
などが必要です。
障害が重複しているときの申請
子どもの場合は身体障害、知的障害、発達障害をお持ちの方が多いのではないでしょうか。
その子どもたちの中には・・・
- 身体障害と知的障害
- 発達障害と知的障害
など、重複して障害を持っている方もおられるでしょう。
重複しているときはどんな申請が必要なのでしょうか?
身体障害と知的障害の重複は
身体障害者用(外部障害)と知的障害者用(精神障害)の2種類の診断書が必要です。また、身体障害の方は、先ほども述べたように「病歴・就労状況等申立書」に、小さい時からの治療状況、生活状況を書かなければなりません。知的障害が重くて、それだけで1級がもらえそうな方は、知的障害の申請だけを行うときもあるようです。
発達障害と知的障害の重複は
知的障害者用と発達障害者用の診断書はどちらも精神障害用の診断書に記入してもらいます。従って1種類の診断書のみです。
障害者手帳は必要?
障害者手帳には・・・
- 身体障害者手帳
- 知的障害の方のための療育手帳
- 精神障害や発達障害、てんかんの方のための精神障害者保健福祉手帳
この3種類の手帳があります。
手帳を持つということは、日常生活に困難があるということの証明になります。
本当に生活が困難で周囲の理解が必要な時、様々な支援が必要な時はぜひとも手帳を取得して、生活の質を向上させましょう。
ところで、障害年金の申請の時には障害者手帳をを持っておくことは必須でしょうか?
答えは、「いいえ」です。
手帳を持っていることは参考にされますが、年金の審査で一番大事なのは
「日常生活能力の程度」の評価
「日常生活の力の判定」の平均
平成28年9月 国民年金・厚生年金保険「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」
これらをトータルに評価して判断されます。
手帳の等級よりも、日常生活の力を総合的に判断することが大事なのです。
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親亡きあと。お金の管理や財産の管理。生活の保障
❝私たち親がいなくなったら、この子はどうなるんだろう?❞
このことは、親が一番心配するところです。
どんな制度があるのでしょうか?
特別障害者扶養信託制度
税制上の優遇措置です。
重度の障害がある人に生前贈与する場合、6,000万円まで贈与税が非課税になります。
信託銀行などがお金の管理を行ってくれます。
中軽度の方への贈与も、3,000万円まで非課税になっています。
成年後見制度
ご本人の判断能力に不安がある時、財産の管理などを支援してくれる制度です。
貯金の管理、日常的な金銭管理などを行ってくれます。
まとめ
20歳の成人を迎えるまでに障害を持った方は「20歳前障害」と呼ばれて、障害基礎年金の対象となります。
障害の認定が1級か2級と判定された方に障害年金が支給されます。
申請の時には、医師による診断書や初診証明、病歴・就労状況等申立書など、大事な要件を記入する書類がいくつも必要になります。
余裕を持って準備していきましょう。
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