発達障害 ADHDとお勉強との関係は?学習障害(LD)って?

発達障害の中にADHDと呼ばれる障害があります。

「よく耳にするけれど…」

でも、一体どんな障害なのか分かりづらいですね。

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今回は、ADHDってどんな障害なのか?ADHDは学習面にどんな影響があるのか?ADHDと学習障害(LD)は関連しているのか?

そんなことをまとめました。

発達障害って?

そもそも発達障害ってなんでしょうか。

発達障害の“発達”とは、「社会で生きる力」「コミュニケーションの力」の発達を指しています。

社会で生きるための技術が未熟だったり、凸凹があって得意な分野と不得意な分野が差が大きい人がいますが、そんな状態が幼少期から続き、生活のしづらさがご本人をとても苦しめる状態になった時に「発達障害」と判断されます。

「障害」という言葉を聞くと、“もう治らない”“一生背負わなければならない”などのイメージがつきまとうと思います。

でも「発達障害」は社会との関わり方の問題なので、「社会との関り方」を学ぶことで“生きやすさ”“生活のしやすさ”を獲得できると、「障害」ではなく、それは、その人らしい「個性」になります。

ですから、できるだけ早いうちから、ご本人の苦手な分野をきちんと学んでいくことが大事です。

辛さを抱えたまま長い人生を送ると、自信がなくなったり、社会への不適応から精神的に不安定になったりします。

“早期教育”が良いとされるのは、そんな二次的な障害を生み出さず、小さいうちから“自信”と“自己肯定感”を育てるためです。

でも、大人の方も遅くはありません。

自分の個性を知って、生き方を少し工夫するととても楽になりますよ。

もし「発達障害かも?」と心配な方は、ぜひ自分の個性を見直して、社会との上手な距離の取り方を考えてみてください。

一人で考えるのは難しいので、専門家にアドバイスを求めてみましょう。

発達障害の3つの症状

 

では、発達障害にはどんなものがあるのか見ていきましょう。

上の表のように、発達障害は「自閉症」「注意欠陥多動性障害(ADHD)」「学習障害(LD)」の3つの障害に分類されています。

自閉症」は現在は「自閉症スペクトラム」と呼ばれることが多くなってきています。

「社会性」「コミュニケーション」「想像性」の領域に苦手さが見られるのが「自閉症」の特徴ですが、その症状は千差万別。

その幅の広さを“スペクトラム”と表現されるようになっているのです。

症状など、詳しくはこちらをご覧ください。タイトルは「アスペルガー」と書かれていますが、アスペルガーは自閉症スペクトラムの症状の1つとお考えください。↓

アスペルガーを知ると見えてくる。育てにくい子にできること。

発達障害 ADHDの症状

次に、今回のテーマになっているADHDについてです。

ADHDは「注意欠陥多動性障害」「注意欠如多動性障害」呼ばれ「Attenthion Deficit Hyperactivity Disorder」の略です。

ADHDには大きく3つのタイプに分けられます。次のような基準がよく知られています。

A-1.不注意
不注意な間違いをする

注意を持続することが困難

話しかけられた時に、しばしば聞いていないように見える

しばしば指示に従えず学業などの義務をやり遂げることができない

課題や活動を順序立てることが困難

努力の持続を要する課題に従事することを避ける

課題や活動に必要なものをなくす

外的な刺激によって気が散ってしまう

日々の活動を忘れっぽい

☆上記の症状のうち6つ以上が6ヶ月以上続く(17歳以上では5つ以上)

A-2.多動性・衝動性

手足をそわそわ動かしたりトントン叩いたりする。またはモジモジする

席についていることが求められる場面でしばしば席を離れる

不適切な状況でしばしば走り回ったり高い所へ登ったりする

静かに遊んだり余暇活動につくことができない

じっとしていない、エンジンで動かされているように行動する

喋りすぎる

質問が終わる前に出し抜いて答え始めてしまう

自分の順番を待つことが困難

しばしば他人を妨害し、邪魔をする

☆上記の症状のうち6つ以上が6ヶ月以上続く(17歳以上では5つ以上)

B.12歳になる前からいくつかの症状が存在していた

C.いくつかの症状が2つ以上の状況において存在する(家庭、学校、職場など)

D.これらの症状が、社会的、学業的、職業的機能を損なわせている

 

発達障害 学習障害(LD)の症状

発達障害の3つめの障害もここで見ていきます。3つ目は「学習障害」です。

Learning DisorderやLearning Disabilitiesと呼ばれ、日本語では「限局性学習症」や「限局性学習障害」と言われています。略してLDと言われることが非常に多いです。

LDの定義は以下のようです。

(1)不的確または速度が遅く、努力を要する読字(例:単語を間違ってまたはゆっくりとためらいがちに音読する。しばしば言葉を当てずっぽうに言う。言葉を発音することの困難さを持つ)

(2)読んでいるものの意味を理解することの困難さ(例:文章を正確に読む場合があるが、読んでいるもののつながり、関係、意味するもの、またはより深い意味を理解していないかもしれない)

(3)綴字の困難さ(例:母音や子音を付け加えたり、入れ忘れたり、置き換えたりするかもしれない)

(4)書字表出の困難さ(例:文章の中で複数の文法または句読点の間違いをする、段落のまとめ方が下手、思考の書字表出に明確さがない)

(5)数字の概念、数値、または計算を習得することの困難さ(例:数字、その大小、および関係の理解に乏しい、1けたの足し算を行うのに同級生がやるように数学的事実を思い浮かべるのではなく指を折って数える、算術計算の途中で迷ってしまい方法を変更するかもしれない)

(6)数学的推論の困難さ(例:定量的問題を解くために、数学的概念、数学的事実、または数学的方法を適用することが非常に困難である)

DSM-Ⅴより

ちょっとややこしいですね。

文部科学省は次のように定義しています。

学習障害(LD)の定義 <Learning Disabilities>
(平成11年7月の「学習障害児に対する指導について(報告)」より抜粋)
基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。
学習障害は、その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない。

つまりLDとは、知的な問題はないのに「読み」「書き」の障害が見られたり、計算・文章題・図形の理解などの算数の障害が見られたり、表現が苦手だったりする障害です。

発達障害 ADHDと学習面との関連

発達障害の分類を簡単に述べました。

では、今回のテーマになっている「ADHD」と「学習」との関連について考えていきたいと思います。

ADHDによって学習面に影響が出るのでしょうか?とても心配なところですね。

実は、ADHDの子どもの中には学習上の課題を抱えている子どもは多くいます

ADHDの症状のために学習上に影響が見られることも多いのですが、じつはその原因は様々なのです。原因としては以下のような点が考えられます。

  • ADHDが持つ特徴
  • 学習障害(LD)による問題
  • 運動面の問題
  • 目の使い方の問題

ADHDが影響している場合

ADHDは先ほどの定義にあったように、大きく、多動なタイプ、不注意なタイプ、衝動的なタイプに分けられますが、どのタイプにも言えることは“どこに注意をむけるか”や“集中しなければいけないことに対して注意力を持続させること”が苦手だということです。

小学生なら授業は45分ほどですね。

その間集中し続けるのが苦手なので、先生の指示が耳に入らなかったり、課題に集中できない…ということが起こってきます。

また、じっくり考えるとできるのに、思いついたらパッと答えを出してしまってケアレスミスをしてしまう子どももいます。

じっくり取り組めないので、字が雑になることもあります。

注意の向け方が不器用で、“好きな課題には夢中になるのに、興味のない課題はしようとしない”というようなムラが目立ってしまったりもします。

不注意で忘れ物をしてしまって、授業にちゃんと参加できない場合もあります。

…ADHDを持っているとかなり学習面に影響が出そうですね…。

親御さんは、そんな子どもを見ているととっても心配になってしまうかもしれません。

こんなに授業に参加できなくて、ミスも多くて、勉強は大丈夫かな?ついていけるかな?

そんなことが頭をよぎるかもしれません。

しかし、こういう状態は、本来その子どもさんが持っている学習の力そのものではありません。

ADHDの症状によって、学習するための環境が整えられていないだけなのです。

ADHDの症状による影響を最小限にして、子どもが本来持っている力を引き出してあげるためには、子どもが集中できる環境を整えてあげることがとっても大事です。

例えば…

  • 席を前にしてもらって先生のお話を聞きやすくする
  • 教室の掲示物を少なくして刺激を減らす
  • 口頭指示だけでなく、絵や図、表などを使って、何度も目で見て確認できるようにしてあげる
  • 一度にたくさん問題を出さずに、細かく分けてもらい、集中力を維持させる
  • 動きたくなる子は、動きを保障してあげる
  • 仕分け箱を使って整理整頓しやすくさせる
  • 物を置く場所を決めて、忘れ物をしない工夫をする

そんな工夫があると、子どもたちの勉強する環境が整いやすくなるかもしれません。

子どもによって何が良いかは違いますので、先生とじっくり話し合って配慮してもらうようにお願いしてみては如何でしょうか。

そんな配慮は、その子だけでなくクラスのみんなへの配慮になる事も多いものです。遠慮せずに、まずは相談してみましょう。

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学習障害(LD)が影響している場合

ADHDがあると、学習障害(LD)もあるのかな?って心配になる方も多いと思います。

ADHDの症状に加えて、他の発達障害などが併存している割合は下の表のようになります。

学習障害(LD)・・・9.8%
自閉症スペクトラム・・・4.8%
チック障害・・・1.6%
反抗挑戦性障害、行為障害・・・31.6%
うつ病・・・10.5%
双極性障害・・・11.7%
不安障害・・・14.4%

榊原洋一 「よくわかる大人のADHD」  ナツメ出版

ADHDがあるとみんながLDになる訳ではないようですね。この統計によると、約一割の子どもにLDが併存しているということになります。

LDを持っている子は意外と多いですね。

LDの診断基準にあったように、LDは知的な問題がないにも関わらず、「読むこと」「書くこと」「話すこと」「推論すること」「計算すること」などが苦手な状態を指します。

学習上の課題なので、小学校に入学して実際にお勉強が始まってから気になり始めることが多いです。

音が上手く聞き分けらない、単語のまとまりをまとまりとして捉えるのが苦手、文をどこで区切ったら良いのか分かりにくい。

そんなことから文を読むのが苦手だったりします。

書くことが苦手なLDのタイプの子どもには、「コップのッの音」「しゃ、しゅ、しょ」「ボールとボウルの違い」「おとうさん」のうの部分が“う”なのか、“お”なのかが判別しにくい、等、特殊音節の理解が難しい子がいます。

また、マス目の空間を意識して書くのが難しいLDの子もいます。

ひらがなが難しい、平仮名は書けるけどカタカナと漢字が難しい、など、文字を書くことが苦手だったりもします。

計算では、繰り上がりや繰り下がりが難しい子、小数点の扱いが分かりにくい子、速さの理解や順序の理解が苦手な子など、いろいろなタイプのLDの子どもがいます。

話の流れを自分なりに理解し、推測するのが苦手なLDの子どもさんもいます。学習面でいうと、文章題がむずかしかったりします。

LDにはいろんなタイプがありますので、心配な場合は学校の先生に相談してみたり、市内にいくつかある通級学級と言われる学習ルームの先生に相談されるのもいいかもしれません。

読む教科書を工夫する、マス目を大きくして書く、得意な方法で漢字を覚える…など、その子どもに応じた方法を考えてあげることがとても大事です。

専門の先生と相談して、子どもが「できた!」と感じられるようにしてあげたいですね。

運動面が影響している場合

ADHDの子どもの中には、身体の使い方が不器用な子どもがいます。

  • よくつまずいたり、走る姿が何となくぎこちない
  • 身体を滑らかに使うのが下手
  • 姿勢を保つのが苦手なのですぐに崩れてしまう
  • 手先の細かい作業が苦手で、鉛筆やお箸がうまく持てない。鉛筆を上手く動かせない

こんな様子が見られる場合は、身体の機能面が学習に影響している言葉考えられます。

いくら「姿勢をピチッと!」と叱っても、本人は身体をどう使えばいいのか分かっていません。

子どもが小さい場合は“感覚統合”というトレーニングが有効な場合もあります。

また、日常生活では、具体的にどう身体を使えばいいのかを伝えてあげましょう。

右手と左手で違う動きをするのが苦手な子もいます。右手で書いて左手は紙を押さえる。そんな動きが苦手なのです。意識して「左のお手々は紙の上に置こうね」と具体的に伝えましょう。

人差し指がうまく使えなくて、人差し指と中指と親指の3点持ちが上手にできない子もいます。そうなると、鉛筆が上手に使えません。まずは3点で物をつまむ練習から始めて、鉛筆の練習をしてみるのも良いかもしれません。

姿勢が保てない時は、椅子の座面に滑り止めなどを敷いてあげるのも有効です。

姿勢が保てないとなかなか集中できませんので、「姿勢保持」は学習ではとても大切な要素です。普段からお盆の上に食器を乗せて“そっと” 動く…そんな、ちょっと体幹を緊張させるお手伝いや遊びを取り入れるのも良いかもしれません。

目の使い方が影響している場合

ADHDの子どもの中にはまた、目の使い方が苦手な子どももいます。

目って、自由に動かせるような気がしますが、意外と目を動かすのは難しいんです。左から右までずっと物を追って見ようと思っても、視線の真ん中辺りでプツリと途切れてその先が見れなくなってしまう子もいます。

また、縦の文字を追ったり横文字を追ったりするのも苦手な子もいます。

遠い黒板の文字を近くのノートに書き写す作業で、目がうまく使えなくて書き写せない子もいます。

文字と、その背景とのコントラストがうまく把握できなくて、文字がしっかりと捉えられない子もいます。

LDの読み書きが苦手なタイプの子は、この目の使い方がとても影響している場合があります。LDとADHDを並存している場合は、目の使い方で、どんな点が苦手なのかを学校の先生と一緒に評価してみると良いかもしれません。

また、多動なタイプのADHDの子は、目の動きも“多動”で、人とゆっくり視線を合わせられないように見えることがあります。目がいろいろと動くので、せっかちで落ち着きがないように見えます。ゆっくり目を動かすことや、じっくりと見るように教えてあげると良いかもしれません。

原因をしっかりと考えて、子どもにあった工夫をしてあげましょう。


まとめ

ADHDの子どもの中にはLDを並存している割合が約10%いると考えられています。ADHDの症状によって学習面に影響が出ることもありますが、LDが並存していることで、別の問題が出てくることがあります。

また、運動面の問題や目の使い方の問題で勉強が難しくなっていることもあります。

勉強につまずいている時、原因がなんなのかということを知ることが 退治です。

ADHDの問題なのか、LDなのか、運動面なのか、目の問題なのか、原因をしっかりと分析して、具体的な対応策を見つけてあげましょう。

必ず子どもは変わってきます。

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