優しくしたり褒めたりなだめたり。
いろんなことをしても子どもはすぐに癇癪を起こしてゴネてしまう…。
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子どもとうまく付き合うのは本当に難しいですね。
今回は癇癪があって育てにくい子についてまとめました。
原因や対応方法を一緒に考えてみませんか。
癇癪を起こすのは素晴らしい⁈
人間の赤ちゃんは、他の動物にはないコミュニケーション方法を持って生まれてきます。
それは“泣くこと”です。
人間の赤ちゃんは早産状態で生まれて自立できていないので、泣いて訴え、強烈にアピールすることで自分を守ってもらわなければ、生きていけません。
そして、この“泣くこと”を通してコミュニケーションが生まれ、親との絆が生まれてきます。
だから赤ちゃんは本来強烈で、手がかかってとても育てにくい存在であり、強烈な自己主張を持っているからこそ生きていけるのです。
赤ちゃん時代も、その後の乳幼児期も、こうした自己主張を通して子どもは成長していきます。
ですので、我が子は思った通りに動いてくれませんし、思った通りには成長してくれないものです。
しかし、違った視点から考えると、“育てにくい子”で“癇癪を起こす”と言うのは、ちゃんと自己主張して、健やかに成長している証でもあります。
子育てに苦労は付きものです。
しかし、子育ては苦労する価値のある、とても大事な作業です。
癇癪を起こす程自己主張をしてくる我が子は、人間同士が生の感情をぶつけ合う素晴らしい機会を作ってくれる大事な存在だと認識すれば、とても愛おしくなってきませんか?
癇癪を起こして育てにくい原因
癇癪を起こして育てにくい子だと感じる原因にはどんなものがあるのかを見ていきましょう。
気持ちの切り替えが苦手で育てにくい子
子どもって機嫌良く遊んでいる時に、急に中断を告げられたりすると、抵抗して暴れたりと癇癪がひどくなりがちですね。
また、楽しみにしていた予定がドタキャンになったり変更されたりしても大激怒。
顔を真っ赤にして癇癪を起こすかもしれません。
“不意な変更”“急な変更”が苦手な子たちです。
予定外のことが起こった時に柔軟に対応するのが苦手なんですね。
こんな子達には、是非、“予告”をしてあげましょう。
「あと○分で終わりね。」
「あと○回したら帰ろうね。」
「明日はお出かけするけど、雨が降ったら予定がこういう風に変わるよ。」
「明日はこんなことするけど、こんな風に予定が変わる時があるからそのつもりにしていてね。」
こんな風に予告してあげると、少しずつ心構えができてきて、時間をかけてですが切り替えられます。
また、変更予定も聞いていると、“想定内”の事なのですんなりと受け入れられます。
こだわりがあって育てにくい子
2〜3歳になると自我が芽生えてきて、自己主張するようになります。
自分の意思が出てきて、しかも意見を譲ることはまだ覚えていませんので、この時期の子どもはとても育てにくいかと思います。
一旦言い出したら聞かない。
自分の思った通りにならないと怒る。
要求が通らないと泣いてわめく。
とても関わりにくくて腹が立ってしまいますね。
腹が立ってしまいますが、一方では、この“頑固さ”も子どもの成長にはとても大切な要素です。
子どもの成長だと、温かい目で見守ることが必要かと思います。
“こだわり”や“頑固さ”は“気持ちを切り替えるのが苦手”だと言うことができます。
従って、「気持ちの切り替えが苦手で育てにくい子」でも述べたような“予告する”のは有効です。
予測不可能な事で癇癪を起こすことも多いですが、予測がつきそうな事…例えば、スーパーに行ったらお菓子を欲しがるだろう…のようなことには、“予告する”のが予防策となります。
「今日はお買い物に行くけど、お菓子は一個買います。」のように、親子間で約束をしておきます。
子どもは約束と欲求との板挟みで葛藤してイライラするかもしれませんが、その葛藤が、これからの感情のコントロールを学ぶ基礎になります。
癇癪をちょっと我慢して、イライラしながらでも親との約束を優先しようとしたならば、是非とも褒めてあげてください。
「あなたはいつも文句ばかり。約束したことは素直に守ってよね!」なんて、一言は我慢。
「よく我慢できたね」「ちゃんとお約束守れたね」「とっても嬉しいよ」と素直に認めてあげましょうね。
こだわりが強い子は、少し努力すれば我慢できることに対して、自分の力でグッと我慢して気持ちを切り替えていく経験が必要です。
時間はかかりますが、小さな目標を乗り越える経験をさせながら、子のこだわりと癇癪に向き合っていきましょう。
しっかりして責任感の強い子は育てにくい子
小学生くらいに多いです。
女の子にも多いように思います。
しっかり者で目標が高くて、賢い子ども。
他の方が見れば羨ましいかもしれません。
でも、一歩家に入れば、気難しくて頑固で、癇癪を起こす場合があります。
自分の思い描いた通りにならないのが悔しかったり、納得できないのかもしれません。
正論で説得しようとしても、相手も正論で言い返して口げんかになってしまいます。
こんな子には“感情”の部分で寄り添ってあげると良いと思います。
外では頑張っているはずですが、その反動が家庭で出ている可能性もあります。
イライラしてお母さんに文句ばかり言うと、親まで腹が立ってしまいますが、ここは親がちょっと我慢です。
子どもは、家庭で親に気持ちをぶつけることで、気持ちを修正しようとしています。
子から発せられる言葉にじっくりと耳を傾けてあげましょう。
同意できそうな内容だったら「そうね」「なるほど」「確かにね〜」「それはそうね」と同意の言葉をかけてあげましょう。
さらに言えそうだったら「確かに、疲れちゃうね」「なるほど。それで今日は怒ってるように見えたんだ」と、目の前の子どもの感情を代弁してあげましょう。
子どもは共感してもらえると納得します。
感情に収まりがつきます。
ここで説得してはいけません。
「そんな事言っても、それは先生の愛情だよ」なんて先生の代弁をすると、子どもは親まで敵にしてしまって喧嘩になります。
子どもの意見に賛成できない時は、説教はせずに「そうかな〜」とサラリと流してください。
子どもが親に求めているのは説教ではなく、この葛藤状態にあるイライラを受け止めてほしいだけなのです。
感情だけ、ちゃんと受け止めてあげましょうね。
体調が悪い時は育てにくい
幼児に多いですが、“眠い”“疲れている”“お腹が空いている”の様な、生理的な不快な感覚に上手く対応できなくて機嫌が悪くなり、癇癪を起こしてしまう子も多いです。
言葉にできないけど、態度で表現している…と理解して対応してあげましょう。
母への攻撃がひどい。育てにくい。〜良いおっぱいと悪いおっぱい〜
人は生まれてから、泣くことでお母さんを呼び、関わってもらうことを通して人間関係を築いていきますが、癇癪がきつくて育てにくい子の中には「まるで私と一心同体の様な感じで、怒りを全て私に投げかけてくる」と感じる方はいらっしゃいませんか?
子どもの精神的な成長と母子関係の変化を見ながら、子どもの癇癪と育てにさを考えてみましょう。
母子関係から見た時の育てにくい子
赤ちゃんは誰でもおっぱいを飲んで大きくなります。
これはミルクでも同じです。
自分に全身全霊をかけて育ててくれる大人がいて、その人が栄養を与えてくれる状況がある…というのが保障されているという意味です。
赤ちゃんはお腹を満たして満足させてくれるおっぱいは“良いおっぱい”と捉えます。
そして反対に、お腹が空いているのに満足させてくれないおっぱいを“悪いおっぱい”と考えます。
ある時はお母さんを良いおっぱいを与えてくれる素晴らしい人と認識し、ある時は悪いおっぱいだけを持ったとんでもない人…と、どちらか一方だけのかたよった認識しかできないのです。
「部分対象」と言われるもので、この頃はまだ“良いおっぱい”も“悪いおっぱい”も同じ人が持っているとは気づいていません。
部分的にしか判断できません。
そして、自分の中に芽生えている不快な感情は、“悪いおっぱい”を持った人に全て投影され、まるで、“悪いおっぱいを持った人のせいだ”とでもいう様に、自分の不快な感情を、悪いおっぱいを持った人にぶつけてきます。
この時代はまだ、自分の不快な感覚に気づいていません。
不快さは全部、おっぱいのせい。
母のせい…なのです。
…あれ?この感覚って、どこかで味わったことはありませんか?
そうです。
癇癪がひどくて育てにくい子の感じに似ていませんか?
何か嫌なことがあっても、自分のせいだとは考えません。
悪いのは全部お母さんのせい。
自分の中の不快な感覚や嫌なこと、耐え難いことを、自分で処理せずに全部母に向けて爆発させる。
何となく母子一体、一心同体な感じがあって、子どもの甘えも怒りも癇癪も、全部母である自分が受け止めている…。
他の人にはそんなことないのに、母である自分にだけは容赦ない怒りをぶつけてくる。
そんな子は、まだ、精神的にこの段階にある子かもしれません。
怒りをコントロールするのは難しいものです。
大人の私達でも、不安や怒りなどの不快な感情は、処理するのがとても難しいです。
幼い子は“怒り”の向き合い方がまだまだ下手で、怒りを“自分の問題”だと判断して、抑制するには高度な技術が必要となります。
持っていきようのない“怒り”は一番身近な母に向けられ、解消されるのです。
コントロールが難しい怒りを「一生懸命に向き合おうと頑張っている最中だ」と理解して、子の癇癪をしっかり受け止めてあげましょう。
大変ですが、受け止められるのはお母さんだけです。
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母子関係はどう変化するか
良いおっぱいと悪いおっぱいに分けて認識されていたおっぱいと、それを持つ母。
しかし、成長と共に子どもは「良いおっぱいを持った人も悪いおっぱいを持った人も、実は同じ人だった」と気づくようになり、母を“良さも悪さも持った1人の人”と認識するようになります。
そして、1人の人間がいろんな側面を持って存在することを理解し、安定した人間関係が保てるようになります。
こうして、安定した基本的な人間関係が成立していきます。
これはメラニー・クラインという精神分析学者が言ってきたことで、この説を元に世界の精神分析学が発展してきました。
赤ちゃん時代の人の認識の変化は、対人関係にも大きな変化を生み、「自分と母は違う人間で、様々な感情を持った人間同士が、お互いを認め合い、信頼しあって関係が成立する」ことに気づいていきます。
この頃になると、自分の中に湧き上がってくる感情に気づいて、それを自分自身で受け止められる様になってきます。
怒りの感情を“癇癪を起こす”ことで母にぶつけていた子も、少しずつ、自分の感情として受け入れ、自分で対処しようと頑張れる様になってきます。
癇癪を起こして、我が子を育てにくい子だと感じている方。
あと、もう少しで子も成長します。
もう少しの我慢です。
あと少しだけ受け止めてあげましょう。
まとめ
子どもの感情はまだまだ未熟で、小さいうちは、自分が不快に感じていることさえちゃんと認識できません。
不快感の表現は母を攻撃すると言う形で表現されることになるために、子どもが小さいうちは、我が子は非常に育てにくい子だと感じてしまうでしょう。
しかし人間関係の土台がしっかりと築かれてくると、怒りを自分のものとして認識し、感情をコントロールしようと頑張れるようになります。
気持ちの切り替えができない。
こだわりがあって頑固。
こんな、癇癪につながりやすい性格も、自分の中に湧き上がる感情に気づいて向き合う力が育たないと、改善することはできません。
心の成長は一朝一夕では無理です。
ゆっくりと、時間をかけて、見守っていかなければなりません。
親には大変な精神力と労力が必要となってきます。
親自身のエネルギーも時間も、何もかも奪っていくような感覚すら覚えるかもしれません。
しかし、それだけの価値が子育てにはあると思いませんか?
大切な一つの命を預かって育てているのですから。
子どもと一緒に暮らせるのはあっという間です。
あと少しだけ、頑張ってみましょうね。
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