幼児用の知能検査と発達検査 その種類は?特徴は?どこで受けるの?

もし、お子さんの発達が気になった時。

知能ってどれくらいなんだろ?発達障害じゃないかな?って気になりますね。

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そんな時はまず、知能検査や発達検査を行って正しく現状を知り、どんな対応をすればいいのかを具体的に考えることが大切です。

今回は、そんな時に使われる幼児向けの知能検査や発達検査についてまとめました。どんな種類があるのでしょうか?どんな特徴があるのでしょうか?どこで受けるのでしょうか?

知能検査や発達検査はどこで受けるの?

ここでは、発達検査や知能検査はどこで受けることができるのかをまとめます。

一番相談しやすい保健所

日本の素晴らしいシステムに、保健所の「乳幼児健診」があります。

幼児の発達については、この保健所の健診が中心になって成り立っているのが大きな特徴です。

この健診があるので、発達のつまずきがある幼児を早期発見して、早期教育につなげることができます。

ですから、幼児の発達が心配になった時に一番相談しやすいのは「保健所」です。

乳幼児健診で相談すると、親身になって話を聞いてもらえますし、必要だったら、その場で発達検査を行ってくれるところもあります。

乳幼児健診がまだまだ先な時は、遠慮せずに個別で相談してみましょう。まずは電話で相談してみると良いでしょう。

改めて子どもさんを連れて相談に行くことになると思いますが、そんな時は、保護者の方はじっくり話を聞いてもらえますし、幼児には時間をかけて知能検査や発達検査を行ってくれます。

そして結果を見て、その幼児への接し方、幼稚園・保育園にお願いしたらいいことなどをアドバイスしてくださいます。

小学校に入るまでは、子どもは保健所の管轄にありますので、何かあったら保健所に相談してみましょうね。

病院で受ける知能検査

幼児のことだから、小児科に行ったら知能検査ってしてくれるんだろうか?どの病院に行けば相談に乗ってもらえるんだろう?

いざ病院に行こうと思っても、どこにけばいいのかさっぱり分かりませんね。

知能検査を行える病院は多くはありません。基本的に、発達外来のような専門的な外来を行なっている病院でないと知能検査は受けられません。

しかも、そんな専門的な外来は紹介状がないと診察が受けられないことも多いです。

さらに!!診察予約をしても数ヶ月待ちはザラにあります。それは、専門の医師が少ないからなんです。

診察にたどり着くまでの道のりが長いですね。

診察の後に、知能検査や発達検査を行うかを医師が決めます。ですから、知能検査を取ってほしいな…って希望したその日から、実際に知能検査を受けるまでには随分と時間が必要になってきますし、検査を取る必要がないと判断されたら、保護者が希望しても受けることはできません。

数はさらに少ないですが、個人病院で発達を診てくれる病院もあります。大きな病院よりはフットワークが軽いので、知能検査を受けるまでの待ちは短いかもしれません。

その他

療育施設:療育施設とは、発達にでこぼこがあったり、発達がゆったりしている幼児が、じっくりと個別指導を受けることのできる幼稚園のような通所施設です。現在は「児童発達支援センター」と呼ばれています。そこに専属の心理士の先生がいらっしゃる場合は、通所している幼児はそこで定期的に発達検査を行ってもらい、その結果をもとに、先生方と一緒に指導のプランを立てます。

発達障害者支援センター:各都道府県に1つは設置されている施設で、発達障害のことが気になった時に相談できるセンターです。施設によって特徴がありますので、まずは電話で問い合わせてみてください。場合によっては幼児向けの発達評価を行なってくれることがあります。

児童相談所:「療育手帳」ってご存知ですか?身体障害を持った人が「障害者手帳」をもらえるように、知的障害がある時にもらえる手帳です。療育手帳をもらいたいなと思って申し込みをした時に、幼児は実際に知能検査を受けることになります。でもとても重要な書類ですので、公的な機関ではその取り扱い方がとても厳しいです。気軽に「検査結果がほしい」とお願いすることは難しいと思います。

発達検査の1つに知能検査があります

知能検査や発達検査ってよく聞きますが、違いがよく分かりませんね。

幼児の発達を評価するものは現在とってもたくさんありますが、それでも年々新しい評価方法が出て来ます。

そういった、子どもの発達段階を評価するものを総称して「発達検査」と呼びます。

「発達検査」には、知的な機能を評価する検査、認知機能を評価する検査、学習などの習得度を評価する検査などたくさんあります。

「知能検査」は数ある発達検査の中で“知能”を評価するものだと考えていただけたら良いと思います。

また、「発達検査」には、もう一つ意味があります。

知能検査は、検査の結果から“知能指数”というのを導きだします。知能指数とは、よく聞くことのある“IQ”のことです。IQは「 Intelligent Quotient」の略です。基準を100として、その幼児が、年齢に対して精神年齢がどのくらいなのかを見ていきます。高いと知的な水準が高いということです。

“知能指数”に対して、“発達指数”をいう指標を導き出す検査を「発達検査」と呼びます。“IQ”に対して“DQ”と呼びます。DQは「Developmental Quotient」の略です。その幼児の年齢に対して、発達的な年齢は何才に相当するのかを見ていきます。これも、100を基準とすることが多いです。

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発達検査と知能検査の種類と特徴

発達検査の種類と特徴:新版K式発達検査

先ほども述べたように、日本の保健所には、全ての乳幼児を対象として健診を行うという素晴らしい特徴を持ったシステムがあります。

そこで使われることが多いのが「新版K式発達検査」です。もともと京都市児童院で開発された検査で、近畿を中心に、保健所健診で使われるようになってきました。K式の“K”は“京都”のKです。自分たちが作り出した!という誇りがあるんですね。

検査を行うときは、まずその幼児が何歳何ヶ月なのかを知っておきます。その年齢を「生活年齢」と呼びます。

新版K式発達検査では、子どもの発達に必要な達成課題を通過しているかどうかを見ていきます。

発達課題を通過、つまりクリアしている年齢を「発達年齢」と呼びます。

生活年齢に対して、発達年齢がどの辺りにいるのか。それを表すのが「発達指数」でDQと呼びます。DQは100を基準とします。

例えば、5才の幼児の発達年齢が5才だったらDQ100です。8才の子どもの発達年齢が4才だったらDQは50になります。基準からの隔たりを数字で表すんですね。

知的障害かどうかを評価する基準は、とても大雑把ですがDQ75あたりで考えることが多いです。

評価する視点は大きく3つの種類があり、運動面、認知面、言語面から評価していきます。

0才の赤ちゃんから成人まで行うことができます。

幼児の心身の発達をくまなく、全体的にバランス良く評価していくのがこの検査の特徴です。

半年以上の期間をあけて検査を行うことが望ましいとされています。

発達検査の種類と特徴:WISC

WISCはウィスクと読みます。幼児の発達検査では、新版K式発達検査と共によく知られている種類の検査です。

現在はバーション4が使われていて、検査名はWISC-Ⅳと言います。ウィlスク-フォーと読みます。

Wechsler Inelligence Scale for Children-Fourth Edition:ウェクスラー児童用知能検査第4版の略です。

ウェクスラー知能検査にはさまざまな種類の検査があり、成人用のWAIS-Ⅲ、小さな子ども用のWPPSI-Ⅲなどがあります。

WISCができない小さな子ども、2才半から7才3ヶ月の子どもはWPPSIを受けたりします。

認知能力を測る種類の検査で、「言語理解」「知覚推理」「ワーキングメモリー」「処理速度」の4つの指標と、「全検査IQ」という得点が出されます。つまり、検査結果を「知能指数IQ」と、あと4つの得点で表される検査です。

WISCは5才から16才11ヶ月までの子どもが受けることができます。

知能指数のIQは100を基準とします。85から115までを標準域にあるとみなします。

知的障害があるかどうかは、臨床的にはやはり75位を目安にすることが多いです。

IQは40から160までで表されますので、40以下点数の子どもは「IQは40以下です。」と表現することしかできません。ですから、具体的な数値が必要な場合は、他の検査でもう一度評価し直すこともあります。

さまざまな視点から評価し、その方の得意、不得意がわかる検査です。幼稚園や学校で、どこに注目して指導したらいいかが良くわかるのが特徴です。

この検査も半年以上の期間をあけることが望ましいとされていますが、あまり頻繁に行うと記憶してしまって正しい評価ができなくなります。1年以上空いている方が良いでしょう。

その他の発達検査の種類と特徴

田中ビネー知能検査:今検査も改訂が行われ、現在の検査名は「田中ビネー知能検査V」です。「思考」「言語」「記憶」「数量」「知覚」などの領域があります。結果について、WISCとの差が10ほど上がる傾向にあるのが特徴です。2歳から成人まで行うことができる知能検査です。

K-ABCⅡ:ケー  エービーシー   ツー と読みます。Kaufman Assessment Battery for Children の頭文字を取ったものです。認知処理能力を評価する検査です。あることに取り組む時に、情報をどのように処理するのが得意か、不得意かを見ていきます。情報処理は大きく2つの種類があり、パッと全体を見て判断する処理過程と、手順を理解しながら時系列に沿って作業を行う処理過程とに分けられます。それぞれ「同時処理」「継次処理」と言います。これらを「認知尺度」として評価します。ことばや文、数の理解などの「習得度」も見ることができます(習得尺度)。2歳6ヶ月〜18歳11ヶ月の人が対象です。

他にもさまざまな種類の検査があります。

まとめ

知能の定義は年とともに変わり、新しい概念に即した、沢山の種類の知能検査や発達検査が開発されています。

特徴もざまざまですので、いくつかのテストを組み合わせることによって、ひとりの幼児をいろんな角度から見つめることができ、支援の方法を具体的に考えることができるようになっています。

幼児の発達支援は保健所の乳幼児健診が中心で、そこで特別支援、療育が必要だ判断された幼児は、地域の病院や療育センターが支えるという仕組みが出来上がってきています。

知能検査は、保健所をはじめとして病院などで受けることができますが、興味本位で受けるのは避けたいものです。

また、結果に表れた数字ではなく、結果から得られた子どもの現状を知ることの方が大事です。

結果をもとに、日常生活や教育現場で活かしていきましょうね。

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