【解説】障害の種類別身体障害児数と重症心身障害児の現状

日本の中には、どのくらい障害を持った子どもがいるのでしょうか?

どんな現状があるのでしょうか?

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厚生労働省の調査を中心に、今回は、そんな障害の実態をまとめました。

主に身体障害児と重症心身障害児を中心にまとめました。

身体障害児・者の数と特徴を比較してみましょう

今回は下の二つの資料を基にしました。

平成18年身体障害児・者実態調査結果

平成23年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)結果

厚生労働省・援護局障害保健福祉部企画課では、身体障害児・者の実情とニーズを把握るするために、5年に一度、定期的に調査しています。

平成18年、平成23年、その次は平成28年ですので、結果については平成30年くらいに報告されそうです。

身体障害児・者数の変化

身体障害児・者の数はどんな変遷がみられるのでしょうか。

者(18歳以上) 児(18歳未満)
昭和35年   839,000人    ー
  40年  1,048,000人    ―
  45年  1,314,000人   116,600人
  55年  1,977,000人   93,800人
  62年  2,413,000人   92,500人
平成 3年  2,722,000人   81,000人
   8年  2,933,000人   81,600人
  13年  3,245,000人   81,900人
  18年  3,483,000人   93,100人

身体障害者の数は3,483,000人でした。年々増えていますね

身体障害児の数は93,100人でした。減少傾向にありましたが、平成8年から少しずつ増加傾向にあります。

身体障害児・者の割合は、人口1,000人に対して28人います。前回の調査と比べると6.9%増えているそうです。

身体障害児・者の年齢別の分布

身体障害児・者を、年齢別に見てみましょう。

このグラフを見ると、65歳以降が急激に増えていますね

高齢の障害者の方が増えているんですね。

 

身体障害者の傾向と特徴

大人の方の特徴などを見ていきます。

65歳以上になると身体障害者の数の増加が目立ってきています。

・身体障害者手帳の1,2級を持っている方は全体の48.1%で、重度な方が増えています。1,2級を持っている方の割合は以下のようです。

1,2級を持っている人の割合・障害の種類別

 

 視覚障害  聴覚・言語障害  肢体不自由  内部障害
 割 合   62.0%    32.7%   43.24%   57.0%

65歳以上になると、上記のどの障害もとても増えてきます。目が悪くなる人、耳の聞こえやお話ができなくなる人、歩くのが不自由になる人、内臓が悪くなる人。高齢になるといろんな部位に障害を持つ・・・というのは、何となく想像できますね。

・大人の障害の原因では、疾患(全体の10.1%)、脳血管障害(全体の7.8%)が大きな割合を占めています。

身体障害の原因

1位病気によるものが20.7%で一番多いです。

2位:その次が事故による9.8%

3位:次が加齢による4.8%

4位出生時の損傷が2.3%と続きます。

障害の種類による障害の原因

障害の種類で見てみましょう。

視覚障害病気によって視覚障害を起こす方が一番多いです。網膜や視神経の病気が多いようです。

聴覚・言語障害:これも病気による方が一番多いです。内耳性の疾患が多いです。言語障害は脳出血や脳血栓などの脳血管障害によることが多いようです。

肢体不自由:交通事故、労働災害、その他の事故(風水害や海難事故など)といった、さまざまな事故によるものが一番多いです。感染症も多いです。病気で身体障害になるのは、脳出血や脳血栓といった脳血管障害、肩や首・腰・股関節などの骨関節疾患が多いです。

内部障害労働災害感染症が多いです。病気では、心臓疾患が圧倒的に多く、次に腎臓疾患が続きます。

身体障害児の傾向と特徴

次は子どもの特徴などを見ていきます。

年齢別・障害の種類別表を見てみましょう。

総数 0歳~4歳 5歳~9歳 10歳~14歳  15歳~17歳
平成18年 93100 17000 23800 31900 20400
内訳
視覚障害 4900 300 1500 2200 4000
聴覚・言語障害 17300 2800 5300 5300 12400
肢体不自由 50100 9900 11800 16100 3100
内部障害 20700 4000 5300 8400 3100

・子どもの身体障害数は93,100人です。この中で、肢体不自由が一番多いですね。どの年代も肢体不自由が多いです。全体の65.8%を占めています。

年齢の上昇とともに身体障害児数が増加します。

・0歳~4歳までの数は少ないのですが、年齢が上がるとともにどの障害の種類も多くなります。

・脳性まひ(25.9%)、心臓疾患(13.3%)が原因で身体障害を持つ割合がとても多いです。

身体障害の原因

1位出生時の損傷によるものが一番多くて19.2%

2位:次に病気が9.9%

3位:その次は、悲しいけれど事故によるものが2.9%と続きます。

障害の種類による障害の原因

障害の種類で見ましょう。

視覚障害出生時の損傷病気などが多いです。未熟児網膜症など、網膜や視神経の疾患、脳神経による疾患が原因となることが多いです。

聴覚・言語障害出生時の損傷病気が多いです。病気では、内耳性の疾患、中耳性の疾患が多いです。

肢体不自由出生時の損傷がとても多いです。しかし、他の種類の障害に比べると、事故病気も多いのが特徴です。原因で圧倒的に多いのは脳性まひで、脳神経疾患や、進行性の筋萎縮性疾患(筋ジストロフィーなど)が続きます。

内部障害病気によるものがとても多いです。また、出生時の損傷も多いです。心臓疾患が圧倒的に多く、次に腎臓疾患呼吸器大腸小腸などが続きます。

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重症心身障害児の現状

重症心身障害児っていう言葉を聞いたことがありますか?

障害の種類としては「身体障害」に入ります。

  • 運動機能がお座りまで
  • 呼吸管理がどれくらい必要か(気管の管理、酸素の管理、吸引など)
  • 食事機能(口から食べられるか、経管栄養か、胃ろうかなど)
  • 消化器症状(胃・食道逆流など)
  • 体位変換が必要か
  • 筋緊張が強いので、服薬や手術が必要か
  • 透析、導尿、人工肛門、などが必要か

などで評価します。

超重症児準超重症児という言葉を使うときもあります。

重症心身障害児の数

         厚生労働省  平成27年9月9日社会保障審議会障害者部会資料

医療的なケアが必要な児童生徒数は、図のように、全国で7,774人、公立の小中学校では976名います。

大人や乳幼児も含めた重症心身障害の方の数は、全国でだいたい43,000人くらいだろうと言われています(施設入所は14,000人、在宅は29,000人)。これは岡田喜篤先生の推計による数字で、本格的な調査は行われていないのが現状です。

重症心身障害児に関する課題

重症心身障害児に関しては、いろんな課題があります。

退院できない

①お家を支える仕組みが必要です

生まれてきたときに、様々な問題で重度の障害を負うことになり、赤ちゃんはNICUという新生児の集中治療室で長期にわたって治療を受けます。

体重が増え、呼吸が安定してきた。

さあ、退院!

でも、お家で十分なケアができるでしょうか?

お母さん一人ではできません。

お父さんやおじいちゃん、おばあちゃんが総動員しても、とても大変です。

夜中に吸引してあげないといけません。

親は安心して眠れないんです。

24時間子どもを見守る。

しかもそれは無期限で、毎日毎日繰り返されます。

だから、家族を支える仕組みがとても大事になってきます。

②NICUの次に行く場所がありません

NICUで管理をしたあと、さあ、次の医療機関に移りましょう・・・と思っても、重症な赤ちゃんを入院させる場所がありません。

結果的に何年も新生児室に入院することになる赤ちゃんもいます。

NICUを出た後に彼らを支える医療機関。

ほしいですね。

教育を受けるのが難しい

子どもは誰だって学校でお勉強をしたり、様々な行事や人との関わりを楽しむ権利があります。

重症心身障害児の子どもだって、お勉強がしたいんです。

お友達と遊びたいんです。

でも看護師さんがいなくて、学校にはなかなか通えません

親がついていないと登校許可が出ないときもあります。

おうちに来てもらって訪問教育を受ける方法もあります。

でも、親がずっとそばにいないと行けません。

親は、家の用事をしたり、他の兄弟のお世話をしないといけないので、毎日訪問教育を受けるのもとても難しいです。

重症心身障害児の子どももその親も、お互いが独立して、それぞれの人生を楽しんでほしいな・・・って思いませんか?



まとめ

今回は障害の種類別身体障害児数と、身体障害に含まれている重症心身障害児についてまとめました。

現在、日本には約9万人の身体障害児がいます。

子どもの身体障害は肢体不自由が一番多く、全体の65.8%を占めています。

また、脳性まひ(25.9%)、心臓疾患(13.3%)が原因で身体障害を持つ割合が多いです。

脳性まひなどは出生時の損傷によることが多いです。

重症心身障害児を支える仕組みはまだ不十分で、家族を支える仕組みや、NICUの次に行く場所が保障されることが必要です。

また、重症心身障害児は、医療的なケアが必要なために教育を受けるのが難しい状況にあります。

重症心身障害児を抱える親の負担はとても大きいのですが、親の人生、子どもの人生、それぞれの人生が独立して、楽しいものであってほしいと強く願っています。

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