発達障害とADHDってどう違うの? 子どもの発達障害について

発達障害という言葉は最近よく耳にしますね。

一方でADHDという言葉もよく聞きます。

スポンサードリンク



一体、発達障害って何なんでしょうか?ADHDって何なんでしょうか?

今回は、子どもの発達障害を中心に、そんな疑問を一緒にみていこうと思います。

障害の種類と発達障害

そもそも、発達障害ってどんな障害なんでしょうか?

その前にまずは障害の種類を見ていきましょう。

障害は、以下のような種類に分類されています。

  • 身体障害:一番イメージしやすいかもしれませんね。手や足にマヒがあったり欠損があったり、内臓や目や耳など、身体の様々な部位に障害が見られる場合を指します。糖尿病やがんなどの病気で仕事や日常生活が円滑に行われなくなった時も身体障害と認定されます。
  • 知的障害:実際の年齢と比べて、言語面や認知面、記憶の力、物事を処理する力、生活の知識などに差が見られるときに「知的障害」と判断されます。主に知能検査や発達検査で評価して判断されます。
  • 精神障害:うつやそううつ、パニック障害、適応障害、強迫観念、統合失調症など、精神的に不安定になった時につく障害です。

この3つの障害に加えて、新しく登場したのが「発達障害」です。

私たち大人が小さい時には「発達障害」という概念はありませんでした。登場したのは本当に最近のことなのです。

発達障害の“発達”とは、「社会で生きる力」「コミュニケーションの力」の発達を指しています。

社会で生きるための技術が未熟だったり、凸凹があって得意な分野と不得意な分野が差が大きい人がいますが、そんな状態が幼少期から続き、生活のしづらさが子どもをとても苦しめる状態になった時に「発達障害」と判断されます。

「障害」という言葉を聞くと、“もう治らない”“一生背負わなければならない”などのイメージがつきまとうと思います。

でも「発達障害」は社会との関わり方の問題なので、「社会との関り方」を学ぶことで“生きやすさ”“生活のしやすさ”を獲得できると、「障害」ではなく、それは、その子どもらしい「個性」になります。

そのためにも、できるだけ早いうちから子どもが苦手な分野を学んで、生活のいろんな場面で“成功体験”を積ませてあげる工夫が大事になってきます。

辛さを抱えたまま長い人生を送ると、自信がなくなってしまったり、どうしても社会への不適応が続いてしまって精神的に不安定になったりします。すると、うつや不登校等、二次的な問題にまで発展してしまい、問題はより大きく、より複雑になってきます。

“早期教育”が良いと一般的に言われるのは、早期に関わることによって二次的な障害を予防し、子どもが小さいうちから“自信”と“自己肯定感”を育て、障害を個性へと導く事ができるからです。

発達障害とADHD

では、発達障害は、具体的にはどんな障害を指すのでしょうか。また、発達障害とADHDとはどんな関係があるのでしょうか。

下の図をご覧ください。

発達障害とは、図のように「自閉症スペクトラム」「注意欠如多動性障害」「学習障害」の3つをあわせた総称をいいます。

ですから、「ADHDは発達障害の中の一つの症状」だということができます。

ややこしいですが、何となくイメージできますね。

少しだけ、発達障害の3つの障害について、子どもを中心に述べていきます。

子どもの発達障害   自閉症スペクトラム

自閉症スペクトラムは「とっても強く当てはまる」から、「少し当てはまる」まで、光のスペクトラムのように連続した症状で成り立つーという考えから生まれた概念です。

特徴は大きく3つです。

①社会性の特徴

他人にあまり興味を示さなかったり、1人遊びが多い。あるいは、人に関心はあるけれど、距離の取り方が近すぎる時がある。

よく喋るが一方的。

相手の立場になって考えるのが苦手。

空気が読みにくい。

視線が合いにくい。あるいは、要求するときだけ目を見るけれど、話しかけても目を見て反応してくれない。

不安が強い傾向にある。

②コミュニケーションの特徴

言葉が遅かったり、オウム返しが多い。

文面通り、言葉通りに解釈する。文脈に隠された意味が分からない。

「それ」「あれ」「ちょっと待って」などのアバウトな言葉が分かりにくい。

③想像性の問題

想像性がない・・・ということは、固さやこだわりにつながります。

頑固でかんしゃくを起こしやすい。

変化が苦手で、不意な変化に弱い。

子どもの発達障害   学習障害

学習障害(LD)の定義 <Learning Disabilities>
(平成11年7月の「学習障害児に対する指導について(報告)」より抜粋)
基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。
学習障害は、その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない。

文部科学省 ホームページより

学習障害は知的な問題がないにも関わらず、「読むこと」「書くこと」「話すこと」「推論すること」「計算すること」などが苦手な状態を指します。

全部のタイプが当てはまるのではなく、どれか1つだけ当てはまったり、いくつかが当てはまったりします。

学習上の課題なので、幼稚園まではあまり気にならなかったのに、小学校に入学して実際にお勉強が始まってから問題が明らかになる子どもが多いです。

言葉が上手く聞き分けらない、単語のまとまりをまとまりとして捉えるのが苦手、文をどこで区切ったら良いのか分かりにくい。そんなことから文を読むのが苦手だったりします。

また、書くことが苦手なタイプの子どもには、「コップのッの音」「しゃ、しゅ、しょ」「ボールとボウルの違い」「おとうさん」のうの部分が“う”なのか、“お”なのかが判別しにくい、等、特殊音節の理解が難しい子どももいます。

空間を扱う事が苦手で、マス目を意識して書くのが難しいLDの子どももいます。

ひらがなが難しい、平仮名は書けるけどカタカナと漢字が難しい、など、文字を書くことが苦手だったりもします。

計算では、繰り上がりや繰り下がりが難しい子、小数点の扱いが分かりにくい子、速さの理解や順序の理解が苦手な子など、いろいろなタイプのLDの子どもがいます。

話の流れを自分なりに理解し、推測するのが苦手なLDの子どもさんもいます。学習面でいうと、文章題がむずかしかったりします。

子どもの発達障害  ADHD

ここからが本番ですね。ADHDについてご説明します。ADHD は「注意欠如多動性障害」と呼ばれ、「Attenthion Deficit Hyperactivity Disorder」の略です。

大きく3つのタイプに分けられます。

多動・多弁型

落ち着きがなく、教室でもジッと座れなかったり、すぐに立ち歩いてしまいます。お話をしていても目がキョロキョロして落ち着きがない感じの子どももいます。

“何かにせき立てられるように動く”と定義づけされていたりします。

買い物に行っても、子どもがどこかへ行ってしまうので、なかなかゆっくり買い物が出来ない事が多いようです。

話し出すと止まらないのも“お口が多動”だとされています。

不注意型

集中力がなく、忘れ物が多かったりします。

また、整理整頓が下手で片付けができない子どももいます。

興味があることには集中して止められないけれど、コツコツとしなければならなことや、気乗りのしない事は長続きしない。

同時にいくつも言われると訳が分からなくなる。

刺激に弱く、何かをやっていてもすぐに目移りしてしまう。

よくケガをしたり、事故にあう。

衝動型

気持ちを抑えるのが苦手で、パッと、突発的に何かに反応してしまいがちなタイプの子どもさんです。

言いたいことが我慢できないので失敗する。

授業で、当たっていないのに勝手に答える。

人の会話に割って入ってしまう。

怒りっぽくて、スイッチが入るとすぐに怒る等、感情を抑えるのが苦手。

スポンサードリンク



子どもの ADHD について

いつ頃気づくの?

上記に挙げたようなADHDの症状は、比較的幼いうちから気づかれることが多いです。

特に多動は、「ハイハイで自分で動けるようになってから動きの激しさが気になった。」「1人歩きを始めたらどこに行くのかわからないくらい動くので、目が離せなかった。」の様に、比較的早い段階で気づかれる事が多いようです。

衝動性についても、「目に留まったらすぐに突っ走る」「大人が会話しているのに、子どもはお構いなしに話に割り込む」などで気になる方が多いです。

一番気づかれにくいのは不注意タイプです。あまり目立たないので幼い内は、親も先生も気に留めないことが多いように思います。

しかし小学校に入ってから、学校生活を通して“忘れ物が多い”“注意力が散漫”などが目立つようになり、気づかれることが多いです。

子どものADHD で注意していただきたいのは、子どものうちは、いわゆる“多動”は多くの子どもに見られます。特に元気いっぱいな男の子は、ママの手に負えないことも多いものです。

だから“ウチの子どもはよく動くからADHDかも”…と心配しないでくださいね。

治るの?

発達障害の原因はまだはっきりとは分かっていませんが、生まれつきのものであるとされる説が有力です。

従って、“完治する”ということは無いようですが、特性を理解しながら自分で上手くコントロールする方法を身につけることが、症状の改善には有効です。

先ほども述べたように、自分の個性や特性を知り、周りの社会と上手く折り合いをつけていく技術を学びながら大人になっていく。

あるいは、苦手なことを得意な方法でカバーする方法を学んで生活しやすくする。

そんな、新たな技術を学ぶトレーニングが有効です。

また、多動に関しては年齢と共に落ち着くようになります。年長くらいになると少しづつ落ち着きを見せ始め、小学校の高学年…5、6年生くらいになると、多動がすっかりなりを潜め始めます。大人になっても走り回っている人はいませんものね。せいぜい、大人になっても何となく気ぜわしい。貧乏ゆすりなどで身体を動かすことが多い…くらいです。

大人でも結構残るのは“不注意タイプ”が多いと言われています。

ADHDに効く治療薬はあるの?

ADHDは生まれついての性質ですので、根治する薬はありませんが、発達障害の中では珍しく、症状を改善させる薬があります。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。↓

発達障害 ADHDの治療に新しい薬 。インチュニブとコンサータとストラテラの違い



まとめ

如何でしたか?

子どもの症状を中心に、発達障害とADHDの違いについてまとめました。

ADHDは発達障害の1つで、多動・多弁タイプ、不注意なタイプ、衝動的なタイプの3つに分けられます。

原因は先天的なものだと言われていますが、特性に応じた学習でカバーする事が可能な障害です。

「できない」経験を積み、「叱られる」事が多いと、本来の障害に加えて二次的な問題が起こってしまい、深刻な問題が生じる場合もありますので、出来るだけ早い段階から、その子どもに応じた教育を行うことが望まれます。

自信を持ち、自己肯定感を持っている子どもは強いです。ストレスと向き合い、乗り越えられる力を持った子どもになります。

育てにくい子の子育てから逃げずに、こうして記事を熱心に読んでお勉強されている方なら大丈夫。

出来ることから始めて、前向きに子育てしていきましょうね。

 

こちらの記事もご参考ください。

ADHDと怒り。すぐ怒る子どもとどう向き合えばいいの?

育てにくい子、ADHDかも⁈と思う子に一番効くのは…

子どもにすぐ怒る私。やめられないのは虐待?正しい育児って?

スポンサードリンク