もしかして発達障害かも?ADHDとアスペルガーの違いって何?

ADHDやアスペルガーって最近よく耳にしますね。

そんな言葉を聞くにつけ、「もしかして私って発達障害かも?」「子どもは発達障害では?」と心配になることはありませんか?

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でも、発達障害という言葉がとても抽象的で、一体何が発達障害なのかがわかりにくいと思います。

今回は、発達障害とは何か、ADHDとアスペルガーの違いをまとめてみたいと思います。

発達障害って何でしょうか?

身体障害、知的障害、精神障害。いろんな障害があります。

身体障害」は手や足などの身体の見える部分や、内臓や目、耳などの障害です。

知的障害」は知的な遅れがあり、知能検査や発達検査をもとに評価される障害です。

精神障害」は気分の問題や不安の問題、依存の問題など、精神的な問題の総称として使われます。

これらの障害は。それぞれの特徴と違いがはっきりしていてイメージしやすいと思います。

一方、「発達障害」はイメージしにくいかもしれません。

「発達」ってなんの発達だろう?って思いますね。

発達障害とは“社会性を中心とした発達のかたより”を指します。

「日常生活を送る時に、どれくらい困り感があるか」「人と関わる時にどれくらいしんどいか」「発達に凸凹があって、どれくらい生きにくさがあるか」。

そんな、主観的で、漠然とした観点が“発達障害”を診断するときの基準になります。

ですから他の障害と違って、発達にでこぼこがあっても「私は全く生活に困ってない」と感じたら発達障害にはならないという、何とも不思議な障害なのです(でも、自分が困っていなくても、周囲がとても困っているときもあるのですが・・・)。

発達障害は3つの種類があります

次の表を見てください。

                    発達障害の理解のために 厚生労働省

このように、発達障害は大きく3つに分けられます。

  • 自閉症:現在は自閉症スペクトラムと言われています。
  • 注意欠陥多動性障害(ADHD):現在は注意欠如・多動症や注意欠如・多動性障害と言われていますが、日常的には「注意欠陥多動性障害」と呼ばれることが多いです。
  • 学習障害(LD):他の学習と比べると「読む」「書く」「計算する」が特に苦手な場合に言います。

では、アスペルガーはどの種類に入るのか?

表にもある通り、アスペルガー自閉症スペクトラムの仲間で、言葉の遅れがないものを指します。

ADHDの症状を見てみましょう

ではまず、ADHDの症状を見ていきましょう。

ADHDとは、注意力や多動、衝動性の問題が強くて、日常生活に支障をきたしてしまう障害です。大きく3つのタイプに分けられます。

多動・多弁型

落ち着きがない
話をしていても目がキョロキョロして落ち着きがない感じ
貧乏ゆすりや指をポキポキ鳴らす
家事や仕事、勉強をしていても他のことに気持ちが行ってしまう
仕事や勉強ををやりかけたままで他のことをする
話し出すと止まらない

不注意型

  • 集中力がない
  • 片付けができない
  • 忘れ物が多い
  • 仕事や勉強でケアレスミスがとても多い
  • 時間の管理が苦手で逆算して行動できない。だから約束の時間にも遅れる
  • 仕事や友達との約束そのものを忘れる
  • 締め切りに間に合わない
  • 作業などを順序立てて行うことが苦手
  • 興味があることには集中して止められないけれど、コツコツとしなければならなことは長続きしない
  • 仕事や勉強で、で同時にいくつも言われると訳が分からなくなる
  • 刺激に弱く、何かをやっていてもすぐに目移りしてしまう。そして、何をやっていたか忘れてしまう
  • 飽きっぽい。時間をかける仕事や勉強がが苦手
  • よくケガをしたり、事故にあう
  • 家事が段取り良くできない
  • こどもの幼稚園に時間内に連れていけない。いつも遅刻させてしまう
  • 買い物に行っても買い忘れが多い
  • 主婦として失格だ・・・と自分を責めることが多い

衝動型

  • 言いたいことが我慢できないので失敗する
  • 授業で、当たっていないのに勝手に答える
  • 人の会話に割って入ってしまう
  • 欲しいものがあるとついつい衝動買いしてしまう
  • 怒りっぽくて、スイッチが入るとすぐに怒る
  • 仕事で人に相談せずに勝手に決めることがある
  • 自制心が利かずに、欲求に勝てないときがある
  • ゲームや喫煙、お酒がやめられない。
  • 何でも仕事を引き受けてしまって、手いっぱいになる。そしてできない

当てはまることが多い、またはとても強く当てはまる項目がいくつかあるのなら、ADHDの可能性を考えてみましょう。

アスペルガーの症状って?

では、次にアスペルガーについて見ていきます。

先ほども述べたように、アスペルガーは自閉症の仲間で、言葉に遅れがみられない場合を指します。

特徴は大きく3つです。

社会性で苦手な面がある

コミュニケーションが苦手

想像性の問題

この3つです。

1.社会性について

他人にあまり興味がない。

自分の世界を大事にして、そこに入り込まれるのがイヤ。

人なつっこいが、人との距離の取り方が下手で近すぎる。

よく喋るが一方的。

相手の立場になって考えるのが苦手。

人の話をあまり聞いていない。

共感性に乏しくて、一緒に感動などの感情を分かち合えない。

感情のコントロールが苦手ですぐ怒る。

話の流れについていくのが苦手。

空気が読めない。

視線が合いにくい。あるいは、要求するときだけ目を見るけれど、話しかけても目を見て反応してくれない。

会社での人間関係でトラブルが多い

2.コミュニケーションについて

文面通り、言葉通りに解釈する。

文脈に隠された意味が分からない。

冗談が分からない。

人との会話が噛み合いにくい。

3.想像性の問題

想像性がない・・・ということは、固さやこだわりにつながります。

融通が利かなくて頑固。

決まった流れが好きで、それを崩されることが嫌い。変化が苦手。

特定のものに対して強い関心がある。

とてもマニアック

4.その他

その他にも、感覚の問題などを持っている方が多いです。

偏食がきつい。

人の顔がなかなか覚えられない。

とても方向音痴。

大きな音が苦手など、いろんな面で感覚が過敏、あるいは鈍感。

手順がなかなか覚えられない。

読むこと、書くこと、などが苦手。

落ち着きがない。

 

大人にも子どもにも評価できるように書いているので、その年代で解釈してくださいね。

ADHDとアスペルガーの症状の違いがわかりましたか?

ADHDとアスペルガーは併存する?

以前は、診断基準の中には「ADHDとアスペルガーは併存しない」という項目がありましたが、臨床的には確認されることが多かったです。しかし、その項目は修正されて、現在は「ADHDにアスペルガーは併存する」となっています。

ある調査では、ADHDの子どもの中で、併存症状を持っているのは7割にのぼると言われています。

ですので、ADHDかも?と疑ったときは、他の症状も隠れているかもしれないことを意識しておいてください。

ADHDとの併存率は以下の数字を参考にしてください。

  • 学習障害・・・9.8%
  • 自閉症スペクトラム・・・4.8%
  • チック障害・・・1.6%
  • 反抗挑戦性障害、行為障害・・・31.6%
  • うつ病・・・10.5%
  • 双極性障害・・・11.7%
  • 不安障害・・・14.4%

榊原洋一 「よくわかる大人のADHD」  ナツメ出版

ADHDとアスペルガーとの違いは?

発達障害ってとても分かりにくいし、しかも合併することがよくあるとすると、「私はADHDなの?アスペルガーなの?」と混乱するかも。

しかしADHDとアスペルガーとの症状では、似ているようで微妙に違っていたりします。その、微妙な違いを書いていきますね。参考にしてください。

表情:ADHDの方は人なつっこい方が多く、人への関心が高くて表情も豊かです。一方でアスペルガーの方は、どちらかと言うと冷静な表情、淡々とした表情でいることが多いです。時に笑うと「あっ、この人が笑った!」と周囲の方が驚くかもしれません。この辺りははっきりと違いが分かるかもしれませんね。

視線の合いにくさ:どちらも視線が合いにくいことがあります。しかしADHDの方は、どちらかと言うとキョロキョロして落ち着きなく目が動いて視線が合いにくいのに対して、アスペルガーの方は人に関心がないので目を見ない。あるいは、見る必要がないと見ない・・・といった点が違います。

人への関心:人への関心の向き方も違います。ADHDの方は人への関心が高い方が多いです。どちらかと言うと人なつっこい感じ。アスペルガーの方は人への関心は高い方ではありません。しかし、とっても話がはずむ時も!それは趣味や関心が同じだったときです。人との情緒的なつながりを喜びとするよりは、もっと目的的で、趣味や共通の話題に関しては人とつながっている・・・という感じです。人そのものに関心あるのがADHD、目的に関心あるのがアスペルガー。そんな点が微妙に違いますね。

飽きっぽさ:どちらも好きなこと、好きなものへの関心は強いです。しかしADHDの方は次から次へと関心が移ったり、単純作業が続くと飽きてしまったりして、なかなか一つのことが持続しません。一方でアスペルガーの方は、どちらかというと好きなことにこだわるために、好きじゃないことには関心を示しません。ですから、関心がないことをさせらている時には、明らかに飽き飽きしているように見えます。その点が違います。

空気を読む:どちらも会話の中で空気を読むのが苦手です。ADHDの方は思いついたら会話に割って入ったり、自分の話ばかりをしたり、と、周囲の反応を見ないで突き進むことが多いです。一方でアスペルガーの方は、会話に入りたいのに入り方が分かりません。空気の読み方が分からないのです。例えば「今日は暑いですね。」と言われてもピンときません。だから何?夏だから暑いでしょ。そう思うかもしれません。その方は、入った部屋が暑いからクーラーつけましょうか?本当はそう伝えたかったかもしれないのに、伝わらない。そんな違いがあります。

会話する集団:どちらも、空気を読めない面がありますが、ADHDの方は大勢でも平気です。でも、アスペルガーの方は、二人なら何とか会話ができても、3人以上になると会話についていけないことがあります。

集中のしかた:ADHDの方は好きなことへの情熱はすごくて、素晴らしい集中力で力を発揮します。しかし、集中しすぎて時間が守れないことがあります。アスペルガーの方も得意分野への興味関心が高くて才能を発揮します。この点はADHDの方と似ていますね。でも、集中しすぎるというよりは、決まったスケジュールや時間を守る方を優先します。時間への配慮が違うのですね。

どんなことにハマるか:どちらも好きなことにはハマってしまいます。しかし、ADHDの方は新しいことやワクワクすること、リスクの高そうなことに興味が向くのに対して、アスペルガーの方は、決まったことや限定的なことに関心が向き、いつも決まったパターンで行うことが多いです。ハマり方も違います。

パニック:どちらも「ワァ~!どうしよう!」とうろたえやすかったりします。でも、どんな時にパニックになるかは違います。ADHDの方は、自分の好きなことを優先させてしまいがちで、段取りを組むのが苦手です。悠長に構えていて、何もできていなかった!間に合わない!と慌てます。一方でアスペルガーの方は、計画通りに行うのが好きで見通しを持った行動が好きです。ですから、不意に予定が変更になる、思ってた段取りが違う・・・そんな時には不安になってパニックを起こしたりします。うろたえ方も随分違いますね。

テンションの上がり方:どちらもテンションがグッと上がる時がありますが、上がり方が違います。ADHDは閾値(テンションが上がるライン)が低くて、ちょっとした刺激でも上がりやすいです。一方でアスペルガーは閾値が高くて普段は上がりません。シラッっと冷静な感じのことが多いのですが、いったんスイッチが入るとソワソワした感じでテンションが上がります。テンションに使うエネルギーの量も、何となく違います。

怒りっぽさ:どちらも怒りっぽい面を持ち併せています。ADHDの方は、どちらかと言うと怒りの沸点が低くて、少しのことで、あっという間にキレてしまいます。一方でアスペルガーの方は、不意に予定を変更される、自分が正しいと信じていることを否定される、自分の部屋に勝手に入ってくる、など、自分のテリトリーや信念をおかされるのがとても嫌です。感覚的な敏感さを持っていることもあるので、不意に触られたり、不意に大きな音がしたりすると嫌で怒ってしまうこともあります。起こるポイントが違いますね。

不器用さ:どちらも不器用に見えることがあります。ADHDの方は足元や手元をしっかり見ないので作業が雑だったり、けがをしたりします。アスペルガーの方は、どちらかと言うと四肢体幹の使い方自体が苦手です。少し違いますね。

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虐待とADHDの似ているところ

「私はADHDかも」そんな不安を抱えている方の中には、もしかしたら、違う原因がきっかけとなっていることがあります。

実は、小さい時からずっと体罰を受けていた。ひどい言葉を投げつけられた。親から無視されることが多かった。親や身近な人から性的な被害を受け続けていた。

苦しかったかもしれません。

「自分が悪い子だったから」って責めてらっしゃる方はいませんか?

あなたは何も悪くはありません。それは明らかに虐待を受けていたということです。

虐待を受け続けていた人は、情緒的に不安定になり、行動がとても不安定になります。

落ち着きなくソワソワする。

いつも心の中で警報機が鳴っているみたいにざわついて、集中できない。誰にもそれを言えない。

気持ちが高ぶってカァーっとなってしまいやすく、しかも、そんな時の記憶があまりはっきりしていない。

それは症状は似ているけれど、ADHDではありません。

思い当たる方は、ぜひ誰かに相談してください。違う治療が必要です。



まとめ

いかがでしたか?

発達障害は、診断基準そのものがとても主観的で、社会での困り具合が重要な点になってきます。

しかも、発達障害は重複していることも多く、ADHDとアスペルガーとの併存も多く見られます。

しかし、同じように見える行動や現象も、障害によっては微妙に違います。

発達障害かどうかが気になる方で、自分は、あるいは身近な人はどんなタイプなんだろう?と気になった時に、この症状の違いを参考になさってください。

また、発達障害の症状とは似ているけれど、原因が全く違うものに「虐待」があります。

深刻な心の問題が潜んでいる可能性がありますので、すぐに病院に相談に行ってください。

 

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