キレすぎて怖い…。すぐ怒るのは境界性人格障害かも?接し方は?

とても魅力的で、気が利いて、謎めいて…。

そんな彼女に魅了されて付き合い始めたら、ある日突然激変してしまって…。

そこからはどんなに愛情を示しても泣きわめくしすぐ怒る…。

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もう手に負えなくなってしまった…。

そんな彼女はもしかすると境界性人格障害かもしれません。

すぐ怒る原因と接し方を探っていきましょう。

境界性人格障害とは

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現在は「境界性パーソナリティ障害」と呼ばれていて、パーソナリティ障害群に位置しています。

パーソナリティ障害とは、偏りのあるものの考え方が性格がみられ、かつ社会的な生活を送ることが難しくなった時に診断される病気です。

様々なタイプが見られますが、境界性人格障害はその中では「感情的で移り気」なタイプに分類されています。

性格に偏り…といっても、性格が悪いとか性格が病的という訳では決してなく、生まれ持った性質と育った環境とが影響しあって、生活上の困難さが見られるようになる状態を言います。

境界性人格障害は若い女性に多く見られ、発症率は1〜2%だと言われています。

パッと見た感じは華やかで魅力的な方が多いです。

快活でよく気が利いて、すぐに友達を作ることができて、人を惹きつける力を持っています。

ところが、親しくなると途端に態度が変わり、気分の波が激しくて、とても不安定な様子を見せるようになるのです。

境界性人格障害の方は親しくならないと本性を見せません。

見せない…というよりは、親しくなって信頼関係ができそうになると、途端にその信頼関係に自信が持てなくなって思考が混乱し、不安定な世界に突き落とされてしまうのです。

親しくなったその人を信頼してもいいのか?

信頼したいけど信じられない。

そんな不安がずっとつきまとってしまい、混乱してしまうのです。

磁石には大きな力があって、S極とN極とが触れ合うと強力にくっつき、磁石の力が大きければ大きい程、引き離すのが難しくなります。

また、同じ極同士では反発しあって弾きあってしまいます。

境界性人格障害の方もまるで磁石のようです。

信頼できそうだ、と感じると急激にその相手を理想化してしまい、「この人こそは私を救ってくれる!」と全力を尽くして依存します。

そしてS極がN極にくっつくように、全力で期待し、愛情を求めます。

磁石の力がパワーを増すように、境界性人格障害の方の思いが強いほど、相手を強く、強く求めるようになります。

相手の方はその必死な思いに応えようと優しくしても、その要求は際限がなく、希望通りに応えきれなくなってしまいます。

そうなると今度は掌を返したように磁石の極が反対になって態度を変え、磁石が磁石を弾くように徹底的に相手を攻撃して怒るのです。

激しい感情を持って怒るので、相手の方はとうとう耐えきれなくなり、境界性人格障害の方の元を去ってしまうことになります。

そうすると境界性人格障害の方は、裏切られた事への失望と虚無感にさいなまれ、再び愛情を求めてさまようことになります。

こんな激しい期待と失望、依存と裏切りとの間を、上昇しては急降下を繰り返すジェットコースターのように行ったり来たりしながら苦しむのが境界性人格障害の方の特徴です。

0か100。

白か黒。

最高か最低。

こんな極端な二元化された思考様式を持っているのです。

ではこんな強力な磁石のような、とめどもないエネルギーの源は一体何なのでしょうか?

愛情飢餓と見捨てられ不安

境界性人格障害の方のエネルギーの源。

それは、“愛情への飢餓感”です。

境界性人格障害の背景には愛着や虐待、いじめなど、深刻な人間関係上の問題が隠れています。

親、特に母親との愛着が形成されていなかったり、虐待、特に性虐待により本来あるべき自分の姿を見失ってしまったりした結果、健全な愛情を受けてから育つはずの自我が確立されないまま非常に不安定に育ってしまいます。

激しい愛情飢餓と、見捨てられる事への不安が絶えずつきまとい、何も見えない闇から一筋の光に救いを求めるように、人から与えられるわずかの愛情を、一滴も漏らさず飲み込んでしまおうと必死に生きているのです。

その、枯渇した愛情欲求が彼らの行動の原動力となります。

境界性人格障害と衝動性・依存

境界性人格障害の方には衝動性が見られるのも特徴です。

不安や飢餓感、怒る感情からくるストレスから何とか逃げたいと言う無意識の気持ちが行動にでてしまい、性的な逸脱行動や浪費、危険運転、ケンカ、自傷行為などの衝動的な行動が見られるようになります。

そしてまた、不安な感情を埋めるように過度に依存してしまうのも特徴です。

人への依存は勿論のこと、ギャンブルやアルコール、薬物や過食、拒食などに依存してしまいます。

自殺未遂や薬物の大量服用で救急外来に運ばれてくることも多いので、境界性人格障害の方は医療につながりやすいのも特徴です。

人の一面しか見えない性格特徴

人はいろんな面を持って生きています。

優しい面と厳しい面、受容的な面と攻撃的な面、穏やかな面と激しい面。

同じ1人の人でも様々な面を持ち合わせ、それを統合した形で1人の人間として存在しています。

私達も人と接する時にはそれを理解して関わり、程よい距離を取りながら円滑にコミュニケーションが図れるように努力しています。

しかし、境界性人格障害の方はその統合した人間像が見えないことが非常に多くあります。

強力な磁石のように愛情飢餓のエネルギーが強く不安定で、ある時はその人を徹底的に理想化するのに対し、一旦裏切られたと感じると今度は、悪い人、とんでもない人と徹底的にこき下ろしてしまいます。

ごく限られた側面しか見えないのです。

しかも、そのきっかけは「電話に出なかった」「メールをすぐに返さない」などの些細な理由で豹変して怒るので、相手の方はたまったものではありません。

すぐ怒ることの根底にあるもの

境界性人格障害の方にとって、人から見捨てられることは非常に恐怖を感じる要素で、その恐怖は破壊的な力へと変換されてしまいます。

すぐ怒るのも、イライラしているように見えるのも、根底にはこの“拒絶される事への不安”が存在しているからです。

いろんな場面で“拒絶された”と感じた途端に爆発的なエネルギーで怒り始め、収集がつかなくなるくらい周囲を振り回してしまいます。

すぐ怒る構造

人に怒る

自分の中の怒る気持ちを他人に投影してしまう機制が働きます。

もし、母親からの愛情を十分に受け取れないまま育ち、愛情に満ちた、全てを与えてくれる母親像を追い求めている人がいた時に、この人こそ愛情を与えてくれる!と感じた相手に出会った時は、自分の理想を全てその人に投影してしまい、その人に愛情に満ちた母親像を実際に求めてしまいます。

理想の投影です。

この人は理想の母のように接してくれる、接してくれるはず…と全力で求めます。

ところが、思う通りに振舞ってもらえなかった時に、今度は否定的な感情をその人に投影してしまいます。

この人はやっぱり私を見放す人だ!自分を否定して見放す人に違いない!と判断して、感情に任せるままに激しく怒るのです。

自分に怒る

境界性人格障害の方は人にいろいろな要求をして飢餓感を埋めようとしますが、それが叶えられなかった時には激しい感情で以って怒ります。

そしてその怒る感情が相手にではなくて、自分に向かうことがあります。

自殺企図やリストカットなどの自傷行為がそれに当たります。

枠を作ることの大切さ

境界性人格障害の方とどう関わっていくかは、周囲の方にとっては切実な問題です。

どう関わればいいのか?

それは何かというと、“枠”が必要だということです。

際限のない様々な欲求は、周りの人が受け止めようとしてもなかなか受け止めきれるものではありません。

また、境界性人格障害の方にとっても相手に際限なく求め続けるのは、底の見えない沼に足を踏み入れて宝物を探し求めるようなもので、もがくほどドロ沼にはまり込んで行きます。

ルールや限度をしっかりと設けてあげて枠を頑丈にすることは、周囲の方だけでなく、本人の心も守ってあげることになります。

まずは受け入れられる事とできない事をはっきりさせましょう。

それは決して冷たい仕打ちではありません。

枠を作って、境界性人格障害の方の自我を強化させることにもなるのです。

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淡々と接しましょう

不安定になっても、相手を試そうと叫んでも、怒っても、感情の渦に巻き込まれるのではなく、淡々と関わりましょう。

作った枠を守ることに専念して、動じないことが大切です。

冷たいのではなくて、それは優しさです。

0でも100でもない決定

極端な思考様式に走りがちな境界性人格障害。

究極に幸せな気分になるか衝動的に怒るか…。

そんな0か100かの思考では人はなかなか生きていけませんよね。

でも、ご本人はなかなか自分の行動に問題があるとは気づいていません。

ですから、ご本人の思考様式に少しずつ幅を持たせていってあげることが大切です。

極端な2つの選択肢だけでなく、3つから選ぶ、中間の選択肢に目を向けられることが必要です。

そんな選択に慣れていってもらいましょう。

また、自己決定できることは自我の強化にも有効です。

様々な選択を自己決定できるようになることも大切です。

ゆっくりと見守っていきましょうね。



まとめ

境界性人格障害は、現在は境界性パーソナリティ障害と呼ばれています。

偏りのある思考様式と生育環境とが影響しあって、生活上の困難さが見られるようになった時に診断がつきます。

親との愛着の問題や虐待が背景に見られ、愛情飢餓と見捨てられ不安が根底にあります。

相手への底なしの依存と理想化が見られますが、それが叶わないとなると衝動的な感情に任せて怒る行動に出ます。

枠を作り、ルールや制限をきちんと設けて、周囲の人が淡々と接していくことが大切です。

また、極端な二元的な選択から幅のある選択、ひいてはそれが自己決定できるようになることが大切です。

母親の怒りと親子関係についてはこちらをご覧ください。

母は何故すぐ怒るのか?母性から見る親子関係

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