コンビニやスーパー、駅などで客とおぼしき大人が大きな声で怒鳴り散らしたり、ネチネチとしつこく食い下がったり。
そんな場面に遭遇するだけで1日不愉快な気持ちになってしまします。
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客はなぜすぐ怒るのでしょうか。
こんなイライラにどう対処すればいいのでしょうか?
考えてみましょう。
客が怒るしくみ
私達にはいろんな場面で、「〜すべき」「こうあらねばならない」のような信念を持っている事があります。
しかし思った通りにならない事は実際場面では多く、そこでちょっとしたストレスを受けることになります。
このちょっとした嫌な感情が溜まって溢れ出てしまうのが「怒る」という感情だと言われています。
怒りを爆発させているうちに怒ったら上手く収まった。
周りの人が言うことを聞いてくれた。
そんな“怒りの成功体験”がクレーマーを作り出していきます。
そうなって来ると、客は“腹が立つから怒る”のではなく、“自分の要求を通すため、自分の言う通りにさせるため”に“怒るという手段”を使う…ということになってきます。
客は本当に怒っているのではなく、様々な心理的な背景の元に、“怒る”ことを手段として何かを表現している可能性があります。
どんな客がすぐ怒るのか
男女比で言うと圧倒的に多いのが男性で、8対2くらいの割合との調査結果があるそうです。
そう言えば、よく怒って恫喝まがいの大きな声を出しているのは大抵男性のような気がします。
寂しい人
自分に自信がなくて、自己肯定感の低い人です。
お店で怒ったり、職員を威圧して屈服させる経験が楽しくなって、繰り返す客もいます。
「帽子のかぶり方が悪い」「返事のしかたが悪い」と怒る理由を探して怒ります。
セロトニン不足
若い男性に多いです。
スーツを着たごく普通に見える客が急に怒り出したり、悪意に満ちた悪い態度に出る事が多いです。
セロトニンという神経伝達物質は、感情を司る前頭葉の機能が円滑に働くのを助けますが、夜型生活を繰り返す、パソコンやスマホを使ってばかりで人とのコミュニケシーションが減ってしまう、などが続くとセロトニンが減少してキレやすくなり、突然怒ります。
加齢による脳の萎縮
キレる老人が多くなっていると感じませんか?
加齢によって脳の萎縮が起こり、理解力が鈍くなったり感情のコントロールが難しくなるのです。
年齢と共に頑固になり、自分の主張を曲げずに大声で怒る客になってしまいます。
感情のコントロールが未熟
若い男性に多いです。
感情のコントロールは小さい時からの経験が必要ですが、我慢する経験や、人を思いやって行動する経験がなく未熟なまま育ってきています。
すぐキレて、些細な事に言いがかりをつけたり恫喝する客になります。
すぐ怒る病気
怒りと関係している病気もあります。
人格障害
自己愛性パーソナリティ障害という人格障害があります。
自分の評価がとても高くて優越感を持っています。
自分が人を支配するか、人から自分が支配されるかという極端な二元的な考えをしがちで、思う通りにならないとあっという間にクレーマーと化する客になってしまいます。
発達障害
社会的な知識に乏しく、コミュニケシーションが苦手です。
小さい頃からコミュニケシーションで失敗する事が多くて、自信が持てなかったり自己肯定感がとても低くなり、大人になるほどに被害的に考える傾向が強くなります。
ちょっとした事で怒ります。
すぐ怒る客への対処方法
客の心理的な背景を考えよう
人が怒る背景には自信のなさや、人格的な未熟さが隠されています。
相手はとても寂しい人です。
自信が持てない人です。
あなたが悪いのではなく、客自信が始めから怒る要素を相手が持っているのです。
まずはそう言う事実を理解しておきましょう。
非言語的なコミュニケーションを大切に
コミュニケーションには非言語的な情報もとても大事です。
普段の会話でも、視線をそらされるだけで、“あっ、聞いてないな”、“私のことは興味ないのかも”と不安になったり自信がなくなったりします。
人は、言葉だけでなく、顔の表情や身振り、手振りもコミュニケーションの大事な要素として見ており、そこから相手の事を瞬時に判断しています。
客に怒られたり、怒鳴られたりすると非常に萎縮して恐怖すら感じますが、こんな時こそ、非言語的なコミュニケーションを大切にしましょう。
相手の目をしっかり見る。
共感して相槌を打つ。
「本当に困りましたね」と同調するように、困ったような表情を浮かべて聞く。
そんな表情がとてもに大切です。
私はあなたの敵ではなく、あなたの気持ちを理解しようとする共感者です。
そんな立場で心を込めて聞きましょう。
謝る言葉を考える
「すみません」「申し訳ありません」と同じ言葉の繰り返しで謝ってばかりいると、ちゃんと聞かずに上辺だけの対応をしていると客から判断されることがあります。
「本当に真剣に聞いてるのか〜」
「すみませんで済む問題か〜」と客が怒るのに火に油を注いでしまい兼ねません。
「気がつきませんですみません」
「不愉快に思われるのは当然です。申し訳ありません」と自分の感じた事を盛り込んでみると、相手は“ちゃんと聞いてくれている”という印象を持ちます。
クレームに同調する
客から何かクレームを言われるととっさに「そんな事はありません」と反論したくなるものです。
しかし、反論されると相手は「ちゃんと聞こうとしない。自分の言い分を真っ向から否定する」と感じてしまいます。
コンビニなどでは20歳かどうかを確認するボタンで「見て分からんのか!」とブツブツ言う客も多いですが、「決まりなのです」と店員が言うとどうなるでしょうか?
「決まりなのです」の言葉の裏には、“ちゃんと見えてますよ。でも決まりなんですから従ってください”と、店員の無言の反論で圧力をかけている…と受け取る客もおられるかもしれません。
「そうですよね。見ればわかる事ですのにね。ご面倒おかけします。」と同調したコメントをすれば、客は反論された…と思う確率は低くなります。
クレームに同調できない時は
クレームに同調できない時もあります。
「こんなの高くない?」と言われても、全然高くない。
心の中では“全然高くないよ”と思うかもしれません。
でも反論はいけません。
「高いですか?」「お高いと感じますか?」と疑問文にして繰り返してください。
疑問文で返されると「最近、何でも物価が高いんだよ。客をなめきってる」「そう。あっちの店では○円で売ってた」などと具体的に答えてくれるので、何に対して怒っているのかが明確になります。
すると、どう謝るのか方向性が見えてきます。
「台風の影響で高騰しており、ご迷惑をおかけしております。申し訳ありません」「あちらのお店では○円でしたか。申し訳ありません。当店では本日はこちらが特売になっておりますので、こちらの商品はお買い得です」のように答えることができるかもしれません。
問いかけに直接答えずに疑問文で聞き返す言い方は、クレームの場面だけでなく、日常的ないろんな場面で活用できる、便利なコミュニケーション方法です。
店員は夢と希望を売る
客にブスッとされたり、お金をポイっと投げられたり、舌打ちされたり、大声で怒られたり。
接客はとても難しいですね。
ただ、客と顔なじみになったり、少し言葉を交わして面識ができてくると、コミュニケーションは一気に取りやすくなってきます。
私達が小さい頃から通っていた近所のおばあちゃんがいる駄菓子屋、馴染みの店主がいる定食屋。
そんな、1対1の関わりができるお店と、不特定多数のお客がやって来るコンビニとでは、お店の性質そのものが違います。
大きな店舗になると、接客マニュアルに即して対応する力が求められます。
店員はそのマニュアルに則って、しっかり仕事をしようと頑張ります。
だから、駄菓子屋のおばあちゃんや定食屋の主人のようが味は出しにくいかもしれません。
ただ、人はやはり人です。
マニュアル言葉の中にも、人間らしさや、客を尊敬する気持ちが見えると、客は「大切にされた」「人間らしい関わりが持ててちょっと楽しかった」と感じてくれるはずです。
ちょっと大げさかもしれませんが、“店員は物を売る機械ではなく、夢や希望を与える人だ”と思ってみませんか。
自分や同僚を守りましょう
客があまりにも無理難題を言ってきたり、恫喝が激しくて恐怖を感じることもあります。
自分たちの身を守ることもとても大事です。
交代する
客があまりにも怒り、恐怖を感じて自分自身のコントロールを失ってしまいそうな時、客の感情が爆発してしまってコントロールをすっかりなくしている時、環境をリセットすることも含めて、担当を交代するのも手です。
事態がねじれてしまってにっちもさっちもいかなくなる時には思い切って環境を変えて、客の怒りの気持ちを、一旦そらしてください。
怒りのボルテージが少し下がります。
いろんなタイプの客がいますので、対応に得意、不得意があると思います。
客とトラブルになった時に、そのタイプに強い方に代わってもらいましょう。
暴力や軟禁まがいのことをしてくる
暴力をふるったり、カウンターから出さないなどの軟禁まがいの行為は立派な犯罪ですので、警察に介入してもらう事も選択肢に入れましょう。
自分たちの力だけでは守りきれない事もあります。
グチを聞いてもらう
客がすぐにキレて怒るのは、見るのも聞くのも不愉快ですし、増してやそれに対応するとなると、ストレスは相当のものになります。
溜め込んでしまうのは良くありません。
辛かったり怖かったりする気持ちは、その状況をよく理解を示してくれる同僚や友人、家族に聞いてもらいましょう。
溜め込んでしまうと、仕事に意味が見出せなくなって仕事に行くのが辛くなったり、抑うつ的になって日常生活に影響が出てしまい兼ねません。
心のメンテナンスをしっかり行って、気持ちを切り替え、前向きな明るい気持ちで仕事に臨みましょう。
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普段からできる事を考えましょう
表情を作る練習をする
無表情はなのはとても人を不愉快にさせてしまいます。
顔の表情を作るのが苦手な方は、口角を上げて「ありがとうございました」と笑顔で客に対応する練習をしましょう。
笑顔で対応された客で不愉快になる方はおられません。
視線を合わせる
人と視線を合わせるのはコミュニケーションを取るための基本です。
特に忙しい時は客の顔を見る余裕もありませんが、そんな小さな場面で相手を不愉快にさせるきっかけを作ってしまい、怒りを買ってしまうことにもなり兼ねません。
意識して目を合わせる。
そしてニッコリ笑う。
そんな小さな積み重ねが大切です。
心に余裕を持つ
朝から家族と喧嘩をしたり、彼と一悶着があったり…。
仕事前から嫌な気持ちを背負っていると、なかなか気持ちを切り替えるのが難しいですよね。
そして、誰かが病気になった。経済的に苦しくて気持ちに余裕がない、など精神的な余裕がない時も、どうしても集中できなくて接客がおろそかになったりします。
また、疲労がたまったり、忙しくて気持ち的な余裕がなくなってくると、一人一人の客に細やかな配慮を行いにくくなります。
自分の健康状態や精神状態を客観的に見て、接客に影響が出ないように工夫することもとても大事です。
心に少しの余裕を持って、明るい気持ちで仕事に臨みましょう。
まとめ
怒ることで人を屈服させる経験が、すぐ怒る客になるきっかけとなりますが、その背景には、自信がなくて自己肯定感が低い、客自身の課題が見えてきます。
セロトニン不足や加齢による脳の萎縮、感情コントロールの未熟さが影響していることもあります。
また、自己愛性パーソナリティ障害や発達障害などの障害が原因となっていることもあります。
すぐ怒ることの背景を考えながら対応する事が大切ですが、同時に自分達を守ることもとても大事です。
誠意と尊敬を持って、客とのコミュニケシーションを大切にしていきましょう。
発達障害の方と怒りの関係についてはこちらをご覧ください。
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