「発達障害」という概念が世の中に浸透し始めて久しいですが、最近は子どもだけでなく、大人の発達障害にも目が向けられるようになっています。
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私たち大人の世代が子どもの時はまだそんな言葉もなく、しんどい思いや辛さを抱えたまま、誰にも気づかれずに大きくなった発達障害の大人は数多く存在しています。
今回は、そんな発達障害の中で「大人のアスペルガーと診断」についてまとめました。
新しい一歩踏み出すための参考になさってくださいね。
アスペルガーって?
アスペルガーとは発達障害の一種で、一般的に「知的障害のない自閉症」や「言葉の力に優れた自閉症」と言われています。
診断基準としてよく使われている DSM -5(Diagnostic and Statistical Manual -5 精神疾患の診断・統計マニュアル 5) を少し見てみましょう。
このように、発達障害は①自閉症スペクトラム ②注意欠如多動性障害 ③学習障害 の大きく3つに分類され、単独で症状を持つ人、重ね持つ人など、人によってさまざまな様相を呈しています。
自閉症スペクトラムという言葉が出てきますね。
今までは「自閉症」と言われていましたが、自閉症の症状は「とっても強く当てはまる」から、「ところどころ当てはまる」まで様々で、光のスペクトラムのように連続しているーという考えから、このDSM-5では「自閉症スペクトラム」と呼ばれるようになりました。
「アスペルガー」は、この新しい基準「自閉症スペクトラム」の中に含まれるようになりました。
しかし、今でも言語能力が高い自閉症スペクトラムの方を指して「アスペルガー」と呼ぶことは、日常場面では多いように思います。
アスペルガーの特徴
アスペルガーの特徴は大きく3つに分けられます。これは大人も子どもも同じですが、困る場面は年齢によって違います。
- 社会性で苦手な面がある
- コミュニケーションが苦手
- 想像性の問題
1.社会性について
- 他人にあまり興味がない。
- 自分の世界を大事にして、そこに入り込まれるのがイヤ。
- 人なつっこいが、人との距離の取り方が下手で近すぎる。
- よく喋るが一方的。
- 相手の立場になって考えるのが苦手。
- 人の話をあまり聞いていない。
- 共感性に乏しい。
- 感情のコントロールが苦手で、怒りや不安の感情をコントロールするのが苦手。
- 話の流れについていくのが苦手。
- 空気が読めない。
- 視線が合いにくい。あるいは、要求するときだけ目を見るけれど、話しかけても目を見て反応してくれない。
- 大人では会社での人間関係でトラブルが多い
2.コミュニケーションについて
- 文面通り、言葉通りに解釈する。
- 文脈に隠された意味が分からない。
- 大人も冗談が分からないことがある。
- 人との会話が噛み合いにくい。
3.想像性の問題
想像性がない・・・ということは、固さやこだわりにつながります。
- 融通が利かなくて頑固。
- 決まった流れが好きで、それを崩されることが嫌い。変化が苦手。
- 特定のものに対して強い関心がある。
- とてもマニアック
4.その他
- 感覚の問題などを持っている方も多いです。音や匂い、痛みや温度、肌触りなどがとても敏感だったり鈍感だったりします。大人でも、この感覚の問題で生き辛さを感じている方が多いです。
- 偏食がきつい。
- 人の顔がなかなか覚えられない。
- とても方向音痴。
- 手順がなかなか覚えられない。
- 読むこと、書くこと、などが苦手。
- 落ち着きがない。
アスペルガーと二次障害
上記のような発達特性から生まれてくる課題は沢山あります。
ですからなるべく早いうちから子どもの特性に気づいてあげて、周囲の大人が環境を整えてあげることがとても大切です。
特性とうまく付き合いながら、生活のいろんな場面で自信を持って、前向きに生きていける子どもに育てていきたいものです。
ところが、気づかれずにきた子どもは、挫折が多くなります。
中には、自分の個性が周りの人とは違うんだということに気づかず、「みんなも私と同じように我慢しながらもこんなにすごいんだから、私も我慢しなくちゃ」と、辛さにひたすら耐え続けて大人になる人もいます。
人と関わるための方法を学び損ね、挫折が続く人生を長年送り続けると、本来の障害に加えてより深刻な問題を抱えることになります。
それが二次障害です。
うつや不登校、引きこもりなど、さまざまな症状に悩まされます。
大人のアスペルガーの方は従って、本来の特性に加えてもっと辛い問題を抱えているかもしれません。
まず、自分の心のケアをすることから始めましょうね。
アスペルガーの診断ができる年齢
自閉症やアスペルガーをはじめとした発達障害の原因は「生まれついての性質」です。
発達障害の診断では、一番発達障害的な要素が出やすい幼児期の行動を参考にして評価していきます。
ですので、発達障害の診断は早くて1歳代から…ということになります。中には、1歳前に診断がつく子どももいます。
逆に大人の方の診断では、小さい頃の情報があやふやで診断が難しくなったりします。
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大人のアスペルガー 診断までにすること
子ども時代を振り返ろう
アスペルガーは大人になってから発症するものではなく、生まれついての性質です。
従って、幼少期の様子を知ることが、診断にはとっても大事です。
1、2歳の頃はどうだったか?幼少期の様子がどうだったか?小学校ではどう過ごしたか?
しかし、ご自身は幼少期のことは覚えていないかもしれません。ご自身で振り返るならば、小学校、中学校、高校時代の様子を思い返してください。
日本イーライリリーより
親に小さい頃の様子を聞いてみよう
大人になった方は、自分の幼少期の様子はなかなかわかりませんね。なるべく親御さんに確認して、ご自身のことを知っておいてください。
親御さんに聞いてもはじめは「そんな小さな時のこと思い出せない。」と言われるかもしれません、
そこで、母子手帳や育児日記、幼稚園の連絡帳や、学校の通知表、撮りだめしているホームビデオなど、小さい頃を思い出せそうなものを参考にして、お話ししてください。「そう言えばね・・・」と、ポツポツと思い出して下さると思います。
大人のアスペルガーと診断・病院
では、大人の方が診断してもらう…となったらどうしたらいいのでしょうか。どんな病院がいいのでしょうか。
①診断のために必要な材料を整えておく
上記に挙げたように、子どもの頃の様子を把握しておきましょう。
②病院を探す
病院を探すのは一苦労です。何しろ、大人のアスペルガー、発達障害を診断してくれる病院が圧倒的に少ないからです。
病院によって得意とする専門分野が違います。まずはどの病院が発達障害を得意としているか知ることが大切です。
ネットの口コミも参考にはなりますが、デマ情報も意外と多いので参考程度に留めましょう。特に医師の評価は信ぴょう性は低いと考えましょう。
一番良いのは直接電話して尋ねてみることです。「発達障害に関して診察を受けたいのですが可能ですか?」と電話口で聴いてください。その反応で好感触を得た病院がいいかもしれません。
患者さんと病院との相性もあるので、ピンときた病院がいいかもしれません。
また、医大のような大きな病院には専門医はいると思いますので、一度確認しましょう。
他の良い方法としては、全国の都道府県に必ず1つは設置されている「発達障害者支援センター」に相談することです。
大人のアスペルガーの相談も年々増えているようです。個別に相談に乗ってくれたり、病院を教えてくれたりします。
困った時には一度、発達障害者支援センターにお問い合わせください。
③初診
病院が決まったら診察です。初診の時は、もし、お母さんが付き添ってくださるのなら一緒に行って頂きましょう。小さい時の様子をたくさん尋ねられます。幼少期のことが分かる母子手帳や通知表も持参しましょう。
医療的な検査、発達的な検査:てんかんなどの基礎疾患はないか?器質的な脳の異常はないか?などを調べることもあります。知能検査などを行うことも多いです。
④診断
1回の診察だけでは診断がつきにくいことが往々にしてあります。数回通ってつくこともあります。
まとめ
発達障害の定義は年と共に変化して、今は「自閉症」から「自閉症スペクトラム」と名前を変え、アスペルガーもその中に含まれるようになりました。
しかし、一般的にアスペルガーは今でも頻繁に使われている名前です。イメージしやすく、使いやす言葉なんですね。
大人の発達障害、アスペルガーの診断でも、幼少期の行動を知ることがとても大事になりますので、診断を受けるにあたっては、小さい頃の情報を知っておきましょう。
また、大人になるまでに様々な挫折を経験し、自己肯定感が低くなってしまい、二次的な問題も抱えてしまう人も多くいます。
大人になるまでに症状が複雑化してしまっていることもあるので、根本的な問題が何であるのかを知ることは、診断においては非常に重要です。
しかし自分の個性を知り、適応方法を具体的に考えていくことは非常に大切ですので、病院に行こうか迷ってらっしゃる方は、一歩踏み出す勇気を持つことが大事です。
また違った未来が待っていますよ。
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